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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章  

直美の言い分に、絢は言葉が詰まる。

彼女がこう言うのは絢のせいなのだ。

絢は父がいない寂しさを紛らわせるために「一人って超いい! ロボットが家事やってくれるし、誰にも注意されたりしないもん」と言い続けていたからだ。

本当は三号が来るまでは、もろアンドロイドの二号と一人と一台、寂しくやっていたのだ。

「そ、そうなの! 勘弁してほしい」

どもってそう答えた絢に、直美は苦笑する。

「素直じゃないなあ。絢、とっても充実した顔してるよ、最近」

つんとおでこを突かれて、顔を赤くした絢が「そ、そんなことないもん!」と強がるのを、直美はいつまでも笑って見つめていた。







帰宅後。

絢の後ろを付いて回り世話を焼きたがる祐二に、絢は嬉しさ半分、面倒くささ半分だった。

「背中を流させてください」とまで言われて、あたふたしたが、ようやく就寝させてもらえる。

絢は肩の下までの長さの髪を念入りにブラッシングした後、百五十五センチの彼女には高めのベッドによじ登ると、ほくほくと布団をかぶる。

(なんか、本当にパパが返ってきたみたい……)

目を閉じると、愛娘を構いたくてしょうがない、すこしうざい父親の笑顔が瞼の裏に浮かんだ。

すぐ眠れそうだったので、電気を消そうとサイドテーブルに手を伸ばした時、ガチャリとドアが開かれる。

祐二はいつもとは違い、絢に断りもせず中に入るとベッドの傍による。

「な、何してるの? こんなところで」

「何とは、無粋ですね……夜伽(よとぎ)に参りました」

心外だという表情の祐二が、恥ずかしげもなくそう言う。

「………はあ?」

「夜伽……女が男と共に寝て相手をすること。……今回の場合は男と女が逆ですが」

「ど、どっからそんな情報仕入れているのよ? 前はエッチって意味も知らなかったでしょう――っ!?」

絢は顔を赤くしてそう突っ込む。

「実は……先ほどテレビを見ておりましたら、若い男女が裸で何やらしておりまして。調べてみましたら、セックスなるものをしていたのです」

(年頃の娘の前で、セックスとか真顔で言うなよ……)
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