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幸せの頂点
第19章 親子
百貨店に出勤するなり高崎さんが寄って来る。
「どうだった?」
不安そうに私を見る高崎さんの表情から彼も梨花さんには逆らえない人なんだと感じる。
「創立祭には行ってくれますよ。」
部長が私となら来週の創立祭に行く約束をした事を報告する。
「そうか…。」
「但し…、その後はどうなっても知りませんよ?」
「どうなってもって…!?」
「お義父様には一切頭を下げる気はないって言い切ってましたから…。」
「参ったなぁ…。」
高崎さんが頭を抱えて悩み出す。
「そんなに酷い親子関係なんですか?」
私には、そんな風には見えない。
昨日の休暇中の部長はずっと私にべったりでひたすら甘いだけの人だった。
夕食は私の母に紹介するつもりで母の店へと行ったけども部長はかなりご機嫌で母の料理を褒め、定番料理だけはメニューを設けるべきだとアドバイスまでしてくれた。
母も部長を気に入り自分の得意料理をこれでもかというほど振る舞い、父が待つ実家まで素直に部長は送ってくれて尚且つ父に挨拶までした後に別れた。
お姉さんとの仲の良さや私の両親に対する態度を見る限り自分の父親とそれほどの確執があるようには全く感じさせない。
なのに高崎さんや梨花さんは部長とお義父様との関係をヤキモキしてる。
何故、そんなに親子の関係修復が必要なのか?
私の疑問に高崎さんが答える前に
「高ちゃん、次の商品入荷の事だけど…。」
と金子さんが高崎さんに声を掛ける。
「悪い。昼休みに梨花が来るから、話の続きはその時にでも…。」
そう言って高崎さんが私の机から離れる。
私は私の仕事をする。
部長が居ない今は自分自身の努力が更に必要だと時間が許す限り情報集めに集中する。