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幸せの頂点
第19章 親子
昼休みに高崎さんと百貨店を出た。
梨花さんとはある意味、初対面になるからと緊張が隠せない。
「高ちゃん。」
裏口を出た私と高崎さんに笑顔で手を振る小さな女性が居る。
梨花さんだ。
俺様な部長が唯一、逆らえないと感じてる人。
その梨花さんが私を見るなり一瞬だけ嫌な表情をしたのを見逃せない。
「はじめまして…。」
私が頭を下げると梨花さんが高崎さんの腕に自分の腕を絡めて私を見る。
「阿久津さん…、だよね?私が辞めた後に私の代わりになった人。」
少し棘を感じさせる口調で梨花さんが言う。
「代わり?」
「神威が私の代わりにした人でしょ?」
「代わりって…、どういう意味かしら?」
なんだか険悪な雰囲気になり、慌てる高崎さんが
「梨花、代わりとかそんな存在じゃない。阿久津さんは阿久津さんの実力で部長が認めたんだ。」
「だって、高ちゃん。ならなんで神威は佐丸に帰って来ないの?」
「だから、それは義父さんとの問題のせいだと説明をしただろ?その問題に阿久津さんにも協力を頼んでるのだから、そういう態度はよくないよ。」
「彼女のせいで神威が帰って来ないんだよ?なのに彼女に頼むとかおかしいよ。」
梨花さんが興奮して声を荒げ始める。
「私のせい?」
高崎さんに確認する。
「阿久津さんのせいじゃない。それは梨花の勘違いだから気にしなくていい。」
高崎さんが顔を歪める。
「説明して…。」
あくまでも部長の家族の問題だと思ってた。
なのに私のせいだと私を知らない梨花さんに責められるとか納得が出来ない。
とにかく落ち着く場所に移動しようと高崎さんが梨花さんの肩を押して無理矢理に移動する。