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幸せの頂点
第5章 主婦



「新人?」


部長の隣に居た女の子が私を見て目を丸くする。


「社員としては新人じゃない。統括では新人扱いになるだけだ。」


部長がニヤニヤとして答える。

若くない私が新人扱いなのがそんなに不思議な事?

女の子の言葉にイライラとする。


「なんか凄いねー。統括とか…。」

「私らには、そーゆーの無いもんね。」

「しゅーしょくしたらあるの?」

「店長ー、就職したら統括とかあるの?」


女の子が口々に話し出す。


「知らなーい。」


三浦さんの隣に座る子が答える。

この子達は何なのだろう?

彼女達の会話が全くわからない。

とりあえず高崎さんの方を見る。


「彼女達は3階にあるレディースショップのアパレルさん達だよ。」


肩を竦めて高崎さんが教えてくれる。


「アパレル?マネキンって言うって聞いたよ?」

「アパレルって何?」

「知らなーい。」

「店長ー?」

「だから私も知らないってばぁ。派遣の人はマネキンなんじゃないの?」

「うちのショップは派遣は使わないよ?」


高崎さんの一言に次々と反応する女の子のパワーに圧倒される。


「佐伯部長は知ってるー?」


女の子が部長に聞く。


「俺が知るわけねえだろ?」


さすがの部長も女の子パワーに引き気味の顔をする。


「でも、部長は3階で有名人じゃん。」


金子さんがニヤニヤとして部長を見る。


「うんうん、うちのフロアで佐伯部長を知らない子は居ないよー。」


女の子達も口々に部長を知ってる自慢を始める。


「私、見たよー。ヒステリックの店長のナナさんと部長が歩いてるところー。」

「えー?ジュリの杏奈(あんな)ちゃんとピザに行ったって聞いたばかりだよ?」

「美優(みゆ)ちゃんも今度、約束してるって聞いたのは嘘なの?」


次々と女の子の名前が出て来て、片っ端から部長がデートをしてる事実だけは理解をした。


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