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幸せの頂点
第5章 主婦



女の子達は皆んなが私よりも若い子ばかり…。

流行のブランド服を着たお洒落な女の子ばかりの中で堅苦しいパンツスーツを着てるのは私だけ…。

しかもバックヤードの片付けで薄汚れてる。

キラキラと輝く女の子達との合コンから完全に浮いた女の扱いだと思う。

唯一の救いは部長と反対側の隣に高崎さんが座ってくれた事。


「あれが三浦ね。」


とまだ見ぬ最後の1人を教えてくれる。

茶髪にピアスというチャラ系の男の人は私に見向きもせずに自分の隣に座る女の子との会話に夢中だ。


「レモンの正しい切り方って知ってる?」

「知らなーいっ!」

「斜めに切るんだよ。」

「そうなの?」


正しいというよりも、その方が搾った時にレモン汁が多くなるというだけの豆知識。

それをひけらかす三浦さんと適当な合図を打つ女の子をぼんやりと眺める。

私がここに居る意味があるの?

高崎さんの苦笑いの意味が少しだけわかった気がして来る。

私が来るまでは男だけの部所だった。

だから部長との飲み会は毎回のように女の子達を呼ぶ飲み会だった。

既婚者の高崎さんだけが浮いた存在になる合コン。

こんな歓迎会をされても私には惨めなだけだとしか感じない。


「高崎、阿久津の為に挨拶をしてやれ。」


ビールを飲みながら部長が高崎さんに命令する。

普通は上司である部長がやるべき事でしょ?

思わず部長を睨みつけるけど部長の肩に顔を寄せる女の子が視界に入って来るから気分が悪いとまた部長から視線を逸らす。


「えーっと…、新人の阿久津さん。三浦以外は皆んな挨拶済みだけど、これからよろしくお願いします。」


そう言った高崎さんが乾杯の音頭を取り、金子さん達が一気にビールを飲み干した。


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