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幸せの頂点
第8章 店長
「でも、部長は私には興味ないもん。」
里緒ちゃんが口を尖らせる。
本気なんだ…。
里緒ちゃんの恋心に少し胸が痛くなる。
「バックヤードでさ、見ちゃったんだ。部長があの人に怒鳴ってるところを…。」
泣きそうな顔する里緒ちゃんの肩をナナさんが抱き寄せる。
「俺がどれだけ心配してるのかわからないなら仕事なんか辞めてしまえって…。本当に部長があの人を心配してるのがわかった。部長があんな風に怒鳴ってるのとか初めて見た。」
唇を噛んで里緒ちゃんが悔しそうな表情をする。
「いつも優しいだけの部長だから…、本当にびっくりした。部長を傷つけるあの人が嫌いだと思ったの。だけど部長はずっとあの人ばかり見てて私を見てくれなかったんだ。」
その後はその女性が本当に百貨店を辞めたと里緒ちゃんが言う。
「きっと今も部長はあの人が好きなんだよ。今も部長は私を見てくれないもん。だから部長よりもカッコいい彼氏を探すんだ。」
前向きになる里緒ちゃんの頭をよしよしとナナさんが撫でる。
「頑張れ!里緒ちゃん。」
思わず私も応援する。
「うんっ!」
里緒ちゃんが笑顔になる。
恋をする女の子って可愛いなって思う。
「美優も撫で撫でしてー。」
何故か美優ちゃんが私に寄って来る。
「よしよし…。」
ナナさんみたいに私も美優ちゃんの頭を撫でてやる。
また皆んなでランチをしようと盛り上がったところでお昼休みが終わってた。
午後はバックヤードの奥にある食品部の事務所に行き発注などの仕事をする。
トマト以外の発注を考えなければと思うのに…。
私の頭の中は里緒ちゃんの言葉が木霊する。