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第5章 十三夜月(じゅうさんやづき)

翌日、雅は身体がだるく一日を寝て過ごした。

使用人たちは心配して主治医を呼ぶと言ってきたが、明日知り合いの医師に会いに行くから必要ないと断った。

成長抑制剤のストックが切れてしまったので、武田のところに行かなくてはならなかった。    

武田のところには毎回約束どおり、制服で出向く。

武田は雅が来るとうっとりとその制服姿を見つめているが、写真を取らせろとは言わないので雅も別に気にしないことにしていた。

看護婦に呼ばれて雅が診察室の奥にあるプライベートルームに入った途端、武田は一瞬怪訝そうな表情をし、直ぐにいつもの笑顔で雅を迎え入れた。

「雅ちゃん、そろそろ来るんじゃないかと思っていたよ」

「薬が切れましたので……」

雅はニコリともせず用件を言うと、勧められた椅子に座った。

「ええ~~。そこはお世辞でも『先生に会いに来たの!』って言ってよ。っていうか、一ヶ月って長すぎ! 雅ちゃん欠乏症状で、仕事が手に付かなくなってきちゃってたよ。だから一ヶ月処方するのはやめて、一週間分にしようかな~~、そしたら毎週雅ちゃんに会えるしね」

武田の申し出に、雅は明らかに面倒くさそうな顔をした。

夏休みとはいえ毎週ここに薬を貰いに来るのは、かなりの手間だ。

「ちょっと顔色悪いし、痩せたみたいだから薬の副作用が気になるのだよ。分かった? しばらく一週間分ずつ処方するから、ちゃんと来るのだよ」

武田にしては珍しく医者のようなことを言うので驚いたが、唯一希望の薬をくれる武田に逆らえるはずもなく、雅はしぶしぶ、はいと答えた。

「うん、いい子だ。じゃあ、今日は点滴打って行きなさい」

単なる夏バテだから大丈夫だと断ったが、夏バテを甘く見ちゃいけないと延々と説教され面倒臭くなったので、大人しく点滴を打って帰った。

帰り際、微笑んだ武田に「じゃあまた来週ね」と頭を撫でられて、その感触に雅は兄の事を思い出した。 



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