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ネコの拾い方…
第1章 寒い夜だったから…



この世界で我儘な僕を唯一叱るのは昌弘だけだ。

僕よりも歳下のくせに…。

昌弘は落ち着いた顔で僕を見る。


「昌弘が気分悪くなる話かもしれないよ?」


意地悪に笑ってそう言ってやる。


「別に…、俺は構わねえよ。話す事で清太郎の気が済むならな。」


タバコの煙を吐き出す昌弘が笑う。

ドキドキする。

今すぐに昌弘に飛び付いて抱かれたいという衝動が込み上げて来る。

男同士…。

世間からは冷たく見られる関係なのに…。

昌弘は気にしない。

決してゲイではなかった昌弘。


『もう、他の女は抱けそうにない。』


膨れっ面で僕にそう言った昌弘に満足した。

今も昌弘はゲイじゃない。

僕が求めた時だけ僕を抱いてくれる僕の飼い主。

僕はネコ…。

昌弘のネコ…。

平凡な男が飼う気まぐれなネコ。

昌弘がタバコを消すと同時に昌弘にキスをする。

タバコ臭い唇が嫌いだからと、わざと昌弘の唇を強く噛む。

昌弘はそんな僕に呆れた表情しかしない。

昌弘の態度に腹が立つ僕はシャツを脱ぎ捨てて昌弘の上に跨り彼の身体をまさぐりながら話をする。

さすがに苦笑いに表情を変えた昌弘は苛立ったままの僕の一方的な愛撫を受け入れる。


「3歳の時だったと思う…。」


自分勝手な身の上話を昌弘にしてた。

その頃の僕は東京に居た。

元々、藤原の本家は京都にある。

2000年という気が遠くなりそうな歴史を持つ一族の末裔が僕という存在だ。

表向きは京都で会員制の料亭を営む名家…。

その暖簾分けの店を東京で出店したのが僕の父。

本家は父の兄が継いだから…。

本家を継ぐ者には料亭だけでなく特別な仕事が課せられる。

イかせ屋という風俗業。

何?それ?

何度、そう言われたかわからない。

そもそも、そんな職業が必要か?

冷静に考える僕自身ですらそう思う。


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