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ラブ・アンド・セックス
第1章 大きな舞台に立ちたい!
「なんで血が出てるのっ……イヤよ……イヤよ、ロミオ……ロミオっ!」
舞台中央に横たわるオレの身体を抱きしめながら、麻衣が叫んだ。
「ロミオ、私を置いていかないで。私も……私もあなたと一緒に行く……」
麻衣は震える手で、オレの手から短剣をもぎ取ると、柄を両手で握りしめ、剣先を自らの胸に向けた。
「スーッ」
大きく息を吸い込む。胸が膨らんだ。そこへ、
「うっ!」
短剣を突き立てた瞬間、音響とともに舞台の照明が赤に変わった。麻衣の全身が深紅に染まる。麻衣は短剣を突き刺したまま、背中を大きくのけ反らせ、動きを止めた。
ゆっくりと崩れるようにオレの上に倒れてくる。そして、
「お休みなさい……ロミオ……」
囁くように言うと、オレと口づけを交わし、静かに瞳を閉じた。
迫真の演技だ。空気がピンと張り詰め、観客全員が息を飲んで見入っているのが伝わってくる。
コツ、コツ、コツ……。
舞台下手から足音が聞こえてきた。浅岡が演じるロレンス神父の登場だ。
「ああ、なんてことだ! ロミオっ! ジュリエットっ!」
浅岡が狂おしい叫び声を上げたところで、照明が落ちて舞台が暗くなり、麻衣とオレ、二人だけにスポットライトが当たった。
曲が流れてきた。グノーのアヴェ・マリアだ。
麻衣の身体の温もりを感じながら、オレは、その美しい調べを聴いた。ロミオとジュリエットの魂が天に召されていく……そんなイメージが瞼の裏に浮かぶ。
曲は2分ほどで終わり、最後のナレーションが流れた。
「キャピュレット家とモンタギュー家……多くの血が流れるという代償を払い、ようやく両家は和解した」
そして幕が下りた。
舞台中央に横たわるオレの身体を抱きしめながら、麻衣が叫んだ。
「ロミオ、私を置いていかないで。私も……私もあなたと一緒に行く……」
麻衣は震える手で、オレの手から短剣をもぎ取ると、柄を両手で握りしめ、剣先を自らの胸に向けた。
「スーッ」
大きく息を吸い込む。胸が膨らんだ。そこへ、
「うっ!」
短剣を突き立てた瞬間、音響とともに舞台の照明が赤に変わった。麻衣の全身が深紅に染まる。麻衣は短剣を突き刺したまま、背中を大きくのけ反らせ、動きを止めた。
ゆっくりと崩れるようにオレの上に倒れてくる。そして、
「お休みなさい……ロミオ……」
囁くように言うと、オレと口づけを交わし、静かに瞳を閉じた。
迫真の演技だ。空気がピンと張り詰め、観客全員が息を飲んで見入っているのが伝わってくる。
コツ、コツ、コツ……。
舞台下手から足音が聞こえてきた。浅岡が演じるロレンス神父の登場だ。
「ああ、なんてことだ! ロミオっ! ジュリエットっ!」
浅岡が狂おしい叫び声を上げたところで、照明が落ちて舞台が暗くなり、麻衣とオレ、二人だけにスポットライトが当たった。
曲が流れてきた。グノーのアヴェ・マリアだ。
麻衣の身体の温もりを感じながら、オレは、その美しい調べを聴いた。ロミオとジュリエットの魂が天に召されていく……そんなイメージが瞼の裏に浮かぶ。
曲は2分ほどで終わり、最後のナレーションが流れた。
「キャピュレット家とモンタギュー家……多くの血が流れるという代償を払い、ようやく両家は和解した」
そして幕が下りた。