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ラブ・アンド・セックス
第3章 石原夫妻の艶技
1週間ほど過ぎた頃、稽古場に実際の舞台で使う小道具が運ばれてきた。ベッドや椅子、影絵用のスクリーン、ライト、モニターといったものが、本番の舞台さながらにセットされていく。これまでオレたちが使っていたベッドは撤去された。代用品だったようだ。

衣装合わせも行われた。今回の舞台では、最後のエチュードのところで、手早くかつ見栄え良く裸になる必要がある。それで衣装には、ガウンをアレンジしたものが採用されることになった。衣装チームが作ってくれた。

男物は、濃い青色のガウンコート、女物は、裾にレースをあしらった真紅のガウンワンピースに仕上がっている。両方とも着たまま外に出ても、まったくおかしくないつくりだ。

早速、みんなでユニタードの上から試着してみた。

肌ざわりがよく、着心地は悪くない。股間の部分も中当てがあり、しっかりサポートされている。これならかなり動いてもお客さんに見えるようなことはないだろう。脱ぐときも、脇の紐を引っ張れば、すぐ脱げるようになっている。よくできていた。

麻衣と夏希さんのほうは、どこから見ても普通のワンピースにしか見えなかった。二人とも気にいったようだ。

しかし、そんな二人を見て相沢先生が、「もう少し、セクシーにできないかな」と言った。「丈をもっと短くして、膝上10センチくらいがいいだろう」

「それだと、お客さんに見えてしまうかも知れませんが……」

衣装の金井さんが言ったが、

「それをどうにかするのが、君の仕事だろう」と先生に押し切られてしまった。その上先生から、「布地ももっと薄いほうがいいな。シースルーに出来ないかな」

裸の上にシースルー!? そんな無茶な、と思ったが、先生に意見を言える人はいない。結局、金井さんが顔を青くしながら、「わかりました。考えてみます」と引き取った。
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