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黄昏異変 肉欲の奈落
第1章 女医 早苗
翌朝、兎にも角にも出社し、無事勤めを終えて帰宅した。
サザンの歌に己を投影していたきのうまでの浩二はどこにもなかった。
リリーと家を飛び出した浩二を、いつものように早苗が待っていた。
犬を連れて足早に近づいてくる浩二の姿を見たとき、早苗の顔に笑みがこぼれた。
「お待たせ」
「きょうは早かったんですね」
早苗が意味ありげに言う。
「うーん。やっぱり気が急くよ。早苗さんは」
「どちらの答を期待してますの。イエスそれともノー」
「どっちでもいいよ。早苗さんが決めることだ」
「ウソばっかり」
「意地悪だなー早苗さん。そりゃー僕だって…」
出かかった言葉を浩二は飲み込んだ。
暗がりに来ると浩二は立ち止まって早苗の顔を見た。
答を待つ早苗の顔が闇に浮かび、その眼差しは嬉しそうに輝いて見えた。
足元でリリーとロロがじゃれ合っている。
「今夜、いいんだね」
浩二はそう言うのがやっとだった。
「うれしい。お待ちしてます・・・・。お食事は」
「まだ食べてない」
「ご一緒しましょうね」
「ありがとう」
ようやく二人は歩き出した。
サザンの歌に己を投影していたきのうまでの浩二はどこにもなかった。
リリーと家を飛び出した浩二を、いつものように早苗が待っていた。
犬を連れて足早に近づいてくる浩二の姿を見たとき、早苗の顔に笑みがこぼれた。
「お待たせ」
「きょうは早かったんですね」
早苗が意味ありげに言う。
「うーん。やっぱり気が急くよ。早苗さんは」
「どちらの答を期待してますの。イエスそれともノー」
「どっちでもいいよ。早苗さんが決めることだ」
「ウソばっかり」
「意地悪だなー早苗さん。そりゃー僕だって…」
出かかった言葉を浩二は飲み込んだ。
暗がりに来ると浩二は立ち止まって早苗の顔を見た。
答を待つ早苗の顔が闇に浮かび、その眼差しは嬉しそうに輝いて見えた。
足元でリリーとロロがじゃれ合っている。
「今夜、いいんだね」
浩二はそう言うのがやっとだった。
「うれしい。お待ちしてます・・・・。お食事は」
「まだ食べてない」
「ご一緒しましょうね」
「ありがとう」
ようやく二人は歩き出した。