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黄昏異変 肉欲の奈落
第2章 取締役経理部長  ユカリ
 考えて見れば今までが出来過ぎ。
 一度でもあの若い早苗の体を味わえただけでも儲けもの。
 いったい、それ以上の何を望んでいるのだ。宝くじが何度も当たらないのと同じ。こんな幸運が長く続くわけがない。
 夢は終わった。
 浩二はそう何度も自分に言い聞かせた。

 年の瀬が近づき、定年がやけに気になりだした。

 「来年は定年か。料理教室にでも行って、料理でも覚えるか」
 「あら、そんな気があるのあなた。最近、隣の駅前に出来たわよ。お料理教室」
 「へえー」
 「結構評判よ。先生が若くて美人だって」
 「なに」

 浩二はいきなりヤル気になった。

 「オイ、お前、暇だろう。ついでのときにパンフでも貰って来てくれ」
 「なに言ってるの、会社の帰りにちょっとのぞいて見なさい。ご自分で」
 「・・・分かったよ」
 (食えない女だ)
 あんな女房に頼んだ俺が馬鹿だった。明日、のぞいてみるか。
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