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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
この仕事をしているとよく思う事がある。
ナツネくんが犠牲になってまで守りたかった世界は、こんなんじゃないって。
「……ねぇ、こんな所もう住めないじゃない!」
孫娘だという依頼人が、怪訝そうな顔つきで室内に入ってくる。
口元にハンカチを当てて。
「お爺ちゃんが死んだって聞いて、遺産貰えたのまでは良かったけどォ……」
「……じゃあ、処分する?」
その彼氏なんだろう。
彼女の肩を抱き、宥めている。
「処分するにもお金かかるじゃないっ。
……何なのよ。私だけ貧乏くじ引いたわ」
「………」
ゆりかご地下室を掘り起こして、ナツネくんを救出したい、と。
あの化け物が同時に出てきても構わない。
みんな、あんまりにも知らなさ過ぎて。
浅はかすぎて。
その日、僕は
カズに置き手紙と、当面の生活費を残して
家を出た。