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-その後の世界-
第1章 3年後の世界
「……眠れないのか?」
声を掛けられて見れば、首にタオルを掛け上半身裸のカズがそこにいた。
どこかさっぱりした顔つきに、湿った髪。シャワーでも浴びたのだろう。
「ん……、」
カズから視線を外す。
施設から脱出した後、ナツネを助けたいと戻ろうとした僕を……おぐっちゃんとカズに引き止められた。
あんなに足手まといだったカズは、脳が少しずつ正常に戻っていたようで、頼りがいのある存在となり、泣き崩れた僕をおんぶして街まで運んでくれた。
あれから──カズとはルームシェアしている。
世界が危機から脱した後も、僕達は生きていかなければならない。
ボールのようなだったカズの体型は殆ど元に戻り、今は見る影もないほど普通の好青年に見える。
「………」
無言のまま、カズがベッドに座る。
「ごめん……そんな気分じゃない」
更に体を小さくする僕の髪を、カズがそっと触れた。
その手を払うかのように、頭を小さく動かす。
「……ごめん、カズ」
「いいって。謝るなよ」
カズの優しい声。