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第1章 とし子の悲劇

桂一郎さんは、７月４日に禎二さんの奥さまがレイプの被害を受けて亡くなった事件を境に、表情がよりネクラになってしまいました。

朝方家を出て出勤する桂一郎さんにアタシが『行ってらっしゃい。』と優しく声をかけていますが、桂一郎さんはアタシの呼びかけに対してムスッとした表情で背中を向けたあと何も言わずに家から出て行きました。

桂一郎さんは、表情がよりネクラになって来たのと同時に髪の毛はほがそ(ボサボサ)になって、くつもボロボロになるなど、身なりがだらしなくなっていました。

アタシはこの時、雄一郎さんと結婚生活…いいえ、雄一郎さんの家の嫁として続けて行くことに限界を感じていたので、武方さんに離婚のことを相談しようかと考えていました。