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第1章 とし子の悲劇

「桂一郎さん…せっかく助けてくださった恩人に対して、石を投げつける気か!?」
「ふざけるな!!20年分のウラミだ!!」

武方さんは、震える声で桂一郎さんにこう言いました。

「桂一郎さん…あんたは…20年分のウラミだと言ったな…誰のおかげでここまで来れたと思っているのだ!?」
「知らねーよ!!オレが入社したての頃に、急に出向で今治のワークセンターへ行った…新居浜のプロパンガス会社との委託契約の更新をコロッと忘れたからこうなったのだよ!!オレは、ワークセンターから出される２万数千円だけしかもらえなかったのだぞ!!ウソつき能なしバカ経営者!!コラ武方!!何とか言えよ!!」
「桂一郎さん…私のことをオンボロでウソつきと言うけれども…アサヒビールの四国工場の配送業務の委託契約が取れるまで、私があちらこちら走り回ったのだぞ!!みんなのお仕事を与えてあげたい一心で走り回って、新居浜の信金からどれだけおカネを借りたと思っているのだ!?｣
｢借り回って集めたゼニつこて、政治家とドーラクザンマイしたりヤクザに上納金（ゼニ）与えたりしたからこななことになったのだろう…オドレのとーちゃんの墓の前で土下座しに行けやコラ!!キサマはとーちゃんの仏壇にお線香を立てることもできんクソバカだから、会社がつぶれたのだよ!!殴らせ…殴らせ!!｣

（ガーン）

桂一郎さんは、武方さんをグーで殴り付けてしまいました。

桂一郎さんは、何も言わずにその場から立ち去りました。

武方さんは、その場にしゃがみこんで声を震わせて泣いていました。