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完熟の森
第20章 恋人 1
長い試験が終わると森の木々は葉を全て落とし、冷たい風が僕の頬を刺した。


僕はマフラーをグルグル巻きにして、雫の元へ向かっていた。


ノックをしてからドアを開ける。


「雫?」


「千晶!」


僕の顔を見ると必ず飛びついてくる愛くるしい雫。


「ねえ、テスト終わったんでしょ」


「終わったよ」


「週末、出掛けない?」


「何処へ?」


「東京行こうよ」


「東京?」


「うん!!」


僕は驚いた。


だって僕達は森から殆ど出ていなかったから。



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