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完熟の森
第34章 守りたい
「あるね」


「あそこに昔、本家があったのよ」


「へえ」


なるほどそういう流れか。


僕は雫の家は古い地主だって理解した。

「でもね、お嫁に来た母が姑と合わず、母を思い、父があの森に家を建てたの」


「そうなんだ」


仲の良い両親だったんだろうなあ。


なんて深く考えてなかった。


「本家の人が亡くなり、土地も森もこの山も父の物になったのも束の間、事故で両親は亡くなったわ」


僕はなんて言っていいのか分からなかった。


雫は一人っぼちなんだと思ったらやけに小さく見えた。



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