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るりいろ(MILK &honey後日談)
第4章 るりいろ
「よっ、と」
スタンドは掛けたまま、愛車に跨がる。
ミラーやなんかを、一応確かめる。ガソリンもほぼ満タン。
「っし。……お乗りくだせー、お嬢様」
「このまま、乗っていい?ステップに上る?」
るりに聞かれて、ほんのちょっとだけなんか刺さる。
背が無いヤツはタンデムステップに片足で上って跨がねーと乗れねーけど、るりは俺と同じ……か、俺より微妙に背が高え。脚は確実に、俺より長え。
……だから。
「どっちでも。スタンドしてるしフラつかねーから、るりのやりやすい方で乗って」
「分かった。……お邪魔します」
るりはステップに上らねーで、バイクをぐらぐらもさせねーで、ひらっと軽く後ろに乗った。
……ほらな。
脚のなげーヤツってな、こんなもんですよ。
シートは後ろが高くなってるから、俺より目線も高くなる。これも、ほんのちょっとなんか刺さっけど、気にしねーもんね。
「このバーのとこ持ったらいい?」
タンデム用のバーとステップは、るりを乗せるって決まってから、探して買って取り付けた。だから、その質問の答えは、イエスだ。
……イエスなんだけど。
「俺に抱き付いても良いよ?」
タンデムバーは、後ろに付いてる。後ろ持ったら、俺からちょっとばかり離れる事になる。
「……教官が、ライダーの操作性を損なうから、後ろに乗ったとき抱き付くのは止めときなさいって言ってた」
……教官……。
……教官め……。
ヒカリみてーにカッコいいだけじゃなくて、んな要らねー事もるりに言ったのか。
確かに正しーこたぁ正しーけど、つまんねー。
俺が心ん中で、そう文句を垂れてたら。
「う?!」
グローブをはめたしなやかな腕と華奢な手が、ぺたんと腰に巻き付けられた。