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るりいろ(MILK &honey後日談)
第4章 るりいろ
「前に巧と話してて、聞いちゃったんだよね……るりの名前の由来。」
「え」
るりって名前で気になる事が有ったから、巧にそれとなく聞いてみた。
「るり」は宝石の名前だったり、ガラスの事だったりもするけれど、亡くなったお袋さんがよく歌ってた昔の歌から取ったってのが、一番デカい理由じゃねーかって……嫌がりもせず、懐かしそうに教えてくれた。
「だから、るりに後ろに乗っけてって言われた時に、一番最初はここに来よう!……って、思ってさー」
「光……」
「『瑠璃色』の、『るり』なんだな。すげー良い名前」
髪にすりすり頬擦りすると、小せー控え目な声がした。
「……その歌、知ってる?」
「……歌って欲しい?」
内緒話みてーに、囁き返す。
「うん……光が嫌じゃなかったら」
「今ヒカリになれるか分かんねーけど、いい?」
「……光だったら、なんでもいいよ」
一世を風靡した本物の歌姫の原曲の高さは出ねーので、ヒカリと自分の間くらいの音域で適当に、でも今までで一番なくらい真剣に歌った。
歌ってる間に水平線にお日さまがじわじわと上ってって、歌い終える頃には辺りはすっかり明るくなっていた。
……わざとらしいほど、歌の通りだ。
「あー……すっげ恥ずかし……」
「私は、すっげー嬉しい。」
一つしかない瑠璃色の星の上に一人しか居ない、「るり」の名を持つ女の子が、お日さまよりもぴかぴかに、俺だけに笑い掛けて、小さく拍手してくれている。
「ありがとう、光。すごく素敵だった」
「ん……」
……ダメだ……眩し過ぎんのか、また涙が出て来そう……。