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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第35章 第二話【炎月~紫苑の花の咲く頃には~】

「なるほどそうきたか。見事なものだ。セリョン、儂はつくづく惜しい。そなたほどの女は冗談でなく手に入れたい。老いたとはいえ、儂はまだまだ女に子を産ませられる。そなたに清国の直系の血を受け継ぐ皇子を生ませてみたいのだ」
皇帝の末子はまだ生後一年にも満たない赤児だという。セリョンは淡く微笑み、何も言わなかった。
今の皇帝の科白は本気と冗談がない交ぜになっている。朝鮮の王妃として迂闊に返答できるものではない。
皇帝がスと振り向いた。
「そろそろ出立せねば冗談でなく、ここで一夜を過ごす羽目になる」
「―はい」
セリョンは皇帝の力強い光を放つ眼(まなこ)を見つめ返し、頷く。偉大な皇帝の細い双眸は、あの日の熱はもう微塵も感じさせなかった。**
皇帝の末子はまだ生後一年にも満たない赤児だという。セリョンは淡く微笑み、何も言わなかった。
今の皇帝の科白は本気と冗談がない交ぜになっている。朝鮮の王妃として迂闊に返答できるものではない。
皇帝がスと振り向いた。
「そろそろ出立せねば冗談でなく、ここで一夜を過ごす羽目になる」
「―はい」
セリョンは皇帝の力強い光を放つ眼(まなこ)を見つめ返し、頷く。偉大な皇帝の細い双眸は、あの日の熱はもう微塵も感じさせなかった。**

