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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第42章 第三話【冬の足音】

~セリョンの出生の秘密が明らかに!~
前作「炎月」から6年が流れた。
国王英宗のただ一人の御子、紅順公主の母、中殿としてときめくセリョン。
国王の寵愛を一身に集める中殿キム氏に周囲から世子誕生の期待がかかる。その重圧に耐えかねるセリョンだったが―。
ある日、「王妃の父」だと名乗る両班が現れた。
そんな中、英宗が溺愛する一粒種の王女が誘拐される。
―私はどうなっても良いの、あの子を無事に返して。
果たして、セリョンの涙の願いは届くのか?
陰謀渦巻く伏魔殿「王宮」で、新たな謀の幕が開く―。
***************本文より抜粋
「私の母は女中だったの?」
いつになく平坦な声に、ムミョンが気遣わしげに見ているのが判る。
「ソン家に子どもの頃、売られてきたそうだ」
「奴婢だったのね」
セリョンは乾いた声で言った。新たな涙が溢れる。
「私は妓生の娘どころじゃない。奴婢の娘だった」
涙に濡れた眼をムミョンに向ける。
「だが、父は両班だ」
負けずに言い返すムミョンに、セリョンは儚い笑みを浮かべた。
「父親の地位が何だっていうの? この国では父親が両班でも母親が奴婢なら、子どもも奴婢よ。母が奴婢でなく平民だとしても、庶子というだけで冷遇されて当然なの。側室の子の辛さはあなたがよく知ってるでしょう。本当は私、王妃になんてなれるはずのない、なってはいけない人間だった」
妓生の娘だというだけで王妃冊立に猛反対していた廷臣たちが事実を知れば、どう言うだろう。この国の王妃が実は奴婢だなんてまかり間違っても認めたくないはずだ。
「過去に奴婢出身で王妃になった例(※脚注 朝鮮時代の身分制度について)もある」
ムミョンが取りなすように言う。セリョンは叫んだ。
「嬉嬪張氏は降格されたでしょ! 私だって奴婢の子だと知れれば、すぐに降格か廃位されるわよ」
「嬉嬪張氏は隷民だから降格されたわけではない。彼女はその素行の悪さゆえ、王妃たる徳がないと降格されたんだ、それはそなたも知っているだろう!」
ムミョンが負けずに怒鳴った。
前作「炎月」から6年が流れた。
国王英宗のただ一人の御子、紅順公主の母、中殿としてときめくセリョン。
国王の寵愛を一身に集める中殿キム氏に周囲から世子誕生の期待がかかる。その重圧に耐えかねるセリョンだったが―。
ある日、「王妃の父」だと名乗る両班が現れた。
そんな中、英宗が溺愛する一粒種の王女が誘拐される。
―私はどうなっても良いの、あの子を無事に返して。
果たして、セリョンの涙の願いは届くのか?
陰謀渦巻く伏魔殿「王宮」で、新たな謀の幕が開く―。
***************本文より抜粋
「私の母は女中だったの?」
いつになく平坦な声に、ムミョンが気遣わしげに見ているのが判る。
「ソン家に子どもの頃、売られてきたそうだ」
「奴婢だったのね」
セリョンは乾いた声で言った。新たな涙が溢れる。
「私は妓生の娘どころじゃない。奴婢の娘だった」
涙に濡れた眼をムミョンに向ける。
「だが、父は両班だ」
負けずに言い返すムミョンに、セリョンは儚い笑みを浮かべた。
「父親の地位が何だっていうの? この国では父親が両班でも母親が奴婢なら、子どもも奴婢よ。母が奴婢でなく平民だとしても、庶子というだけで冷遇されて当然なの。側室の子の辛さはあなたがよく知ってるでしょう。本当は私、王妃になんてなれるはずのない、なってはいけない人間だった」
妓生の娘だというだけで王妃冊立に猛反対していた廷臣たちが事実を知れば、どう言うだろう。この国の王妃が実は奴婢だなんてまかり間違っても認めたくないはずだ。
「過去に奴婢出身で王妃になった例(※脚注 朝鮮時代の身分制度について)もある」
ムミョンが取りなすように言う。セリョンは叫んだ。
「嬉嬪張氏は降格されたでしょ! 私だって奴婢の子だと知れれば、すぐに降格か廃位されるわよ」
「嬉嬪張氏は隷民だから降格されたわけではない。彼女はその素行の悪さゆえ、王妃たる徳がないと降格されたんだ、それはそなたも知っているだろう!」
ムミョンが負けずに怒鳴った。

