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向日葵の姫君~王女の結婚~(「寵愛」第三部」)
第54章 向日葵の姫君~The Princess In Love~
韓流時代小説「王宮の陰謀」第三部。

わずか16歳で亡くなったとされる(英宗と貞彗王后との間の第一子)紅順公主には秘密があった?

幼なじみの二人が幾多の障害を乗り越え、淡い初恋を育て実らせるまでの物語。

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(いずれも本文から抜粋)
☆窓から差し込む格子模様の陽差しが夕方の淡いピンクに変わろうとしている。床に描かれた模様が涙の幕の向こうで、ぼやけた。
ージュンスは、ただの幼なじみなんかじゃない。
 もう、自分に嘘はつけないし、気づいた想いを無かったことにはできなかった。
 自分はジュンスを好きなのだ。誰が何を言おうと、紅順の心の奥底を覗けば、ジュンスへの消えない恋情が切々と燃えている。
 でも、彼は? ジュンスは紅順のことをどう思っているのか。嫌われてはいないようだけれど、彼もまた自分と同じように恋情を抱いているかまでは判らない。
 更に、幸運にも両想いだとしても、柳尚宮のような見方をする人が多いのは事実だ。自分たちの恋に見込みはほぼないに等しい。
 まるで四面楚歌で、頼りになる人も心を打ち明けて相談できる人もいない状態だ。強いていえば柳尚宮がいるが、彼女だとて基本的にはジュンスとの恋には反対している。
 どうしよう、どうしたら良い?
 紅順は文机に突っ伏した。声を上げて思い切り泣きたくても、大声で泣けば柳尚宮が心配してまたやってくる。
 王女という立場では、思うがままに泣くこともできない。本当に不便なものだといえた。
 紅順にとって、長すぎた夏の一日が終わろうとしていた。
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