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復讐の味は甘い果実に似て
第8章 復讐の行方 ~明日香の告白~
 ひかるが言うように、わたしにも、納得できない部分はあった。
 浩二が、わたしのことで先輩に抗議したとき、復讐なんか空しいだけだ、全く建設的じゃない、という浩二に、先輩はこう言っていたはずなのだ。

 自分が目指しているのは建設ではなく、徹底的な破壊だと。
 破壊し尽して、僕の周りを瓦礫の山にして、僕は空しくなるのだ、と。
 空しさを感じてこそ、僕は前に進めるのだ、と。
 だが、今、当の先輩は、その破壊すら、きちんとできていないではないか。

 前に進むどころか、空しくなることも出来ず、未だに、その場で立ち止まったままだ。
 それじゃ、復讐の道具にされたわたしたちは、いったいなんなのだろう。
 ひかるは処女を失い、わたしは浩二を失う覚悟で道具としての役目を果たしたのに。
 
 結局、わたしは浩二を失いはしなかったけど、浩二は、寝取られなどという厄介なものに目覚めてしまった。

 明日香さん、ひかるさん、お二人にはいろいろとご協力いただきましたが、結局、僕は、恵梨を忘れることができませんでした。

 散々、周りを巻き込んでおいて、そんなことで終わっていいんだろうか。
 妙に腹の立ってきたわたしは、缶に半分ほど残ったビールを一気に飲み干した。

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