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復讐の味は甘い果実に似て
第1章 終わりと始まり
夏休みの半ばで就職が決まると、僕は、思いがけなく指導教授の先生に呼び出された。
先生にすれば、多分、僕の顔が緩みっぱなしなのを見こしてのことだったのだろう。
「新田、お前、良い人がいるんだろ? 結婚とか考えてんのか?」
何でそれを……という僕の問いを押さえて、先生が笑った。
「そんだけ浮かれてりゃ嫌でもわかるよ。それを見越しての話なんだが、少しアルバイトをしないか? 実は、今、こっちで抱えている委託調査がいくつかあってな。」
そう前置きして先生が僕に持ちかけてきた話は、そう難しいものではなかった。
要するに、先生が企業から受けてきた委託調査の報告書のとりまとめをやってほしいということだった。
「1件につき20万、3件やれば60万出す。結納金ってほどじゃないが、婚約指輪くらいにはなるんじゃないか? お前はドキュメント作成に長けてるし、何とか頼むよ。」
もちろん、僕は喜んで引き受けた。
僕はすぐにでも恵梨を手にしたい、と思っていたから、恵梨の卒業と同時に婚約、という段取りは考えていたが、結納やらなんやらと考え出すと、まず先立つものが・・という不安はあった。
それに、婚約という形についても恵梨の両親の意向もある。
まあ、そう焦らなくても、お互いにある程度蓄えが出来てからでもいいんじゃないか、と言われれば、僕が折れるしかないのだ。
さらに、僕の就職先は栃木だし、恵梨が大学を卒業するまでは、それなりの遠距離恋愛になってしまう。
どっちにしても会いにいく回数を増やすためには、それなりに金が要るのだった。
先生にすれば、多分、僕の顔が緩みっぱなしなのを見こしてのことだったのだろう。
「新田、お前、良い人がいるんだろ? 結婚とか考えてんのか?」
何でそれを……という僕の問いを押さえて、先生が笑った。
「そんだけ浮かれてりゃ嫌でもわかるよ。それを見越しての話なんだが、少しアルバイトをしないか? 実は、今、こっちで抱えている委託調査がいくつかあってな。」
そう前置きして先生が僕に持ちかけてきた話は、そう難しいものではなかった。
要するに、先生が企業から受けてきた委託調査の報告書のとりまとめをやってほしいということだった。
「1件につき20万、3件やれば60万出す。結納金ってほどじゃないが、婚約指輪くらいにはなるんじゃないか? お前はドキュメント作成に長けてるし、何とか頼むよ。」
もちろん、僕は喜んで引き受けた。
僕はすぐにでも恵梨を手にしたい、と思っていたから、恵梨の卒業と同時に婚約、という段取りは考えていたが、結納やらなんやらと考え出すと、まず先立つものが・・という不安はあった。
それに、婚約という形についても恵梨の両親の意向もある。
まあ、そう焦らなくても、お互いにある程度蓄えが出来てからでもいいんじゃないか、と言われれば、僕が折れるしかないのだ。
さらに、僕の就職先は栃木だし、恵梨が大学を卒業するまでは、それなりの遠距離恋愛になってしまう。
どっちにしても会いにいく回数を増やすためには、それなりに金が要るのだった。