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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第11章 はなむけの言葉は「色の道」
≪はなむけの言葉は「色の道」≫

「全く、お前たちには油断も隙もあったもんじゃねえなあ…」
「ほんと、酷いわ…」

事が終わり、別棟の座敷に引き上げてきた小鹿と久美子の顔はまだ火照っていた。

「ははは、仲がいいってことはめでたいことです」

縄秀と風間さんは美味そうにワインを飲み、有田は酔いつぶれていたが、河口光道だけは正座して、一人静かに墨を磨っていた。

「河口、お前、何をしているんだ?」
「ああ、これか。いやなあ、有田が浅丘のところに行くってことは、俺とお前からすれば、弟子を武者修行に出すようなものだ」
「そうか、そういうことになるか」
「それで、はなむけに色紙でも書いてやろうかと思ってな」
「ほお、お前もそういうことを考えることがあるのか?」
「ははは、バカ言っちゃいけない。俺は『花ユリ学園』の理事長、教育者だぞ」

墨を磨り終えた河口光道は高笑いして酒をグッと飲み干した。

「何が教育者だ。聞いて呆れるわ」と小鹿も同じく酒を飲み干したが、「いいじゃないの、そんなこと。はい、どうぞ」と久美子がさっと徳利を差し出した。
「おお、悪いな」

久し振りに〝夫婦の契り〟を交わした二人は呼吸もぴったりだ。

傍らでは有田が高いびきをかいていたが、その頬をなぞった久美子は「可愛い顔をしているのね」と言って、彼女も酒を口にした。

少ししんみりとなったが、その空気を変えるように、風間さんが「ねえ、面白いものを見せましょうか?」と悪戯っぽく笑った。

「え、何?気になるわね」と久美子がお猪口を置いて身を乗り出すと、風間さんは「ふふ、ちょっと待ってね」とワイングラスを置き、有田のズボンとパンツを引き下ろした。
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