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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第3章 エロ坊主、河口光道
≪健勝寺≫
夕べの酒が残るしょぼしょぼの目には夏の日差しは眩しい。
健勝寺は住宅街の外れ、高台にある。山門をくぐると直ぐに石段になっている。
「随分ありますね」
「お前は若いからいいよ」
有田は小鹿に連れられ、この寺の住職、河口(かわぐち)光道(こうどう)を訪ねるところだ。
石段の途中、「悩みごと、仏さまがお聞ききします」などと書かれた看板が立っている。
「おい、呆れるぜ。何が『仏さまがお聞きします』だ。あのエロ坊主が!」
小鹿は参道にも関わらずペッと唾を吐いた。
「公務員とか教師とか、お堅いイメージの職業に就いている奴にはスケベが多いんだ。有田、お前も銀行員だから、よく分かるだろう?」
昨晩、一緒に飲んでいる時、ズバリ言われてしまい、返す言葉がなかった有田は「全く、その通りです」と頭を掻いていた。
「明日は土曜日だ。ちょうどいい機会だから、エロ坊主を紹介してやるよ」
「エロ坊主?あだ名ですか?」
「いや、本物の坊主、健勝寺の住職だが、『花ユリ学園』という女子中学・高校の理事長を兼ねている」
「教育者ですか…」
「まさか、あいつが教育者だなんて。その逆だよ。立場を利用して、女を食い物にしているんだ、あの野郎は」
昨夜、小鹿は酒を片手に、河口光道との馴れ初めを有田に語って聞かせてくれた。
「骨董屋の修行を始めた頃だよ。浮世絵だとか、いろいろ持ち込まれて、偽物を掴まされてばかりだった。親父には『バカ野郎!』って頭を叩かれるし、酒ばっかり飲んでいたんだ」
「やはり、騙されるんですか?」
「当たり前だ。世の中、悪い奴ばかりだ」
夕べの酒が残るしょぼしょぼの目には夏の日差しは眩しい。
健勝寺は住宅街の外れ、高台にある。山門をくぐると直ぐに石段になっている。
「随分ありますね」
「お前は若いからいいよ」
有田は小鹿に連れられ、この寺の住職、河口(かわぐち)光道(こうどう)を訪ねるところだ。
石段の途中、「悩みごと、仏さまがお聞ききします」などと書かれた看板が立っている。
「おい、呆れるぜ。何が『仏さまがお聞きします』だ。あのエロ坊主が!」
小鹿は参道にも関わらずペッと唾を吐いた。
「公務員とか教師とか、お堅いイメージの職業に就いている奴にはスケベが多いんだ。有田、お前も銀行員だから、よく分かるだろう?」
昨晩、一緒に飲んでいる時、ズバリ言われてしまい、返す言葉がなかった有田は「全く、その通りです」と頭を掻いていた。
「明日は土曜日だ。ちょうどいい機会だから、エロ坊主を紹介してやるよ」
「エロ坊主?あだ名ですか?」
「いや、本物の坊主、健勝寺の住職だが、『花ユリ学園』という女子中学・高校の理事長を兼ねている」
「教育者ですか…」
「まさか、あいつが教育者だなんて。その逆だよ。立場を利用して、女を食い物にしているんだ、あの野郎は」
昨夜、小鹿は酒を片手に、河口光道との馴れ初めを有田に語って聞かせてくれた。
「骨董屋の修行を始めた頃だよ。浮世絵だとか、いろいろ持ち込まれて、偽物を掴まされてばかりだった。親父には『バカ野郎!』って頭を叩かれるし、酒ばっかり飲んでいたんだ」
「やはり、騙されるんですか?」
「当たり前だ。世の中、悪い奴ばかりだ」