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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第4章 ママ、お願い。お礼は体で払います
「吉田機械の方からは『メインバンクの顔も立てないといけないから、財務取引と融資取引は半分で勘弁してくれ』と。だけど、『証券関係と年金は全てお宅にお願いする』って言ってくれたよ」
「副支店長、例の白山のスナックですよ」
「おお、あそこか。あの接待が良かったんだな」
「はい、有田が頑張りましたから」
裏を何も知らない副支店長と榎本課長はそう言って喜んでいた。
「目標は全取引だったが、社長の個人取引は全て取れたし、会社取引も財務と融資が半分であっても、証券、年金が全て当行にとなれば、これは目標を達成したと同じだ。これまで誰も出来なかったことを、榎本課長の指導で、有田君が実現したと言うことだな」
「はい、そうです。支店長」
榎本課長は支店長に最敬礼していたが、副支店長は「米つきバッタ」と渾名されるように支店長に「よいしょ」を忘れない。
「支店長、担当役員の口ぶりからすると、これは支店全体で特別表彰を頂けると言うことですね」
「ははは、それは最後まで分らんよ」
「担当役員の口ぶり」という言葉に支店長の表情も緩んでいた。
これは栄転でも匂わされたかな?自分の力で成し遂げた訳でもない有田はいたって冷静だ。
「じゃあ、有田君、これからも頑張って下さい」
「はい、ありがとうございます」
支店長室から出てきた有田を皆が拍手で祝福してくれた。
お礼に行ったら、今夜も眠れないな…有田はニヤニヤしながら、右手で腰を揉んでいた。