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銀行員 有田雄一、私は「女」で出世します
第4章 ママ、お願い。お礼は体で払います
≪流石というか、やはり「銀座の女」は凄い≫
「おはようございます」
「おお、おめでとう。男の子か。いやあ、よかったなあ」
有田はワイフの初産に立ち会うため休暇を取っていた。1週間ぶりに出勤すると、職場の仲間たちが祝ってくれたが、問題は榎本課長だ。
1週間前、「明日から休暇を頂きたいのですが」と休暇願を持って行くと、
「へえ、子供が産まれる、いいねえ。で、どうするのかな、吉田さんのことは?」と嫌味たっぷり。「はっ、休み明けに全力で取り組みます」と口から出任せに答えたが、「ほお、出来るんだね?」とハンコを押しながら睨んでいた。
その榎本課長は「おーい、こっちだ!」と支店長室から呼んでいる。
朝から嫌だなあ…有田は憂鬱になっていたが、周囲の仲間は「おい、早く行けよ」とニコニコ笑っている。
人が悪いよな。叱られるのは俺だぜ…まあいいや、どうせ怒られるんだ、先に謝ってしまえ。
有田は支店長室に入るなり、「あ、あの、すみませんでした!」と頭を下げたが、意外にも「ははは、ご苦労さん」と副支店長からねぎらいの言葉が返ってきた。
「え?」
何が何だか分らず、有田が顔を上げると、「いやあ、本当によくやった。担当役員からもお褒めの電話があったぞ」と肩を叩かれた。そして、「有田、吉田社長の件だよ」と榎本課長が背中をバンバン叩いてくる。
「昨日、社長がお見えになって、社長の個人取引について相続対策も含め、全て当行に任せると言ってくれたよ」
いつもは仏頂面の支店長が笑顔で褒めてくれるから、その顔色ばかりを窺っている副支店長はご機嫌だ。
本当に助けてくれたんだ。銀座の女って、やると決めたらやってしまうんだ…有田は信じられない思いだった。
「おはようございます」
「おお、おめでとう。男の子か。いやあ、よかったなあ」
有田はワイフの初産に立ち会うため休暇を取っていた。1週間ぶりに出勤すると、職場の仲間たちが祝ってくれたが、問題は榎本課長だ。
1週間前、「明日から休暇を頂きたいのですが」と休暇願を持って行くと、
「へえ、子供が産まれる、いいねえ。で、どうするのかな、吉田さんのことは?」と嫌味たっぷり。「はっ、休み明けに全力で取り組みます」と口から出任せに答えたが、「ほお、出来るんだね?」とハンコを押しながら睨んでいた。
その榎本課長は「おーい、こっちだ!」と支店長室から呼んでいる。
朝から嫌だなあ…有田は憂鬱になっていたが、周囲の仲間は「おい、早く行けよ」とニコニコ笑っている。
人が悪いよな。叱られるのは俺だぜ…まあいいや、どうせ怒られるんだ、先に謝ってしまえ。
有田は支店長室に入るなり、「あ、あの、すみませんでした!」と頭を下げたが、意外にも「ははは、ご苦労さん」と副支店長からねぎらいの言葉が返ってきた。
「え?」
何が何だか分らず、有田が顔を上げると、「いやあ、本当によくやった。担当役員からもお褒めの電話があったぞ」と肩を叩かれた。そして、「有田、吉田社長の件だよ」と榎本課長が背中をバンバン叩いてくる。
「昨日、社長がお見えになって、社長の個人取引について相続対策も含め、全て当行に任せると言ってくれたよ」
いつもは仏頂面の支店長が笑顔で褒めてくれるから、その顔色ばかりを窺っている副支店長はご機嫌だ。
本当に助けてくれたんだ。銀座の女って、やると決めたらやってしまうんだ…有田は信じられない思いだった。