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置屋に生まれて
第2章 童貞喪失
増子はその小料理屋から歩いて10分程のマンションの3階、2DKの部屋に住んでいた。
インターフォンを押すと間もなくドアが開いた。
「こんばんは」
「あら、明彦ちゃん、いらっしゃい」
白粉こそ塗っていないが、髪はきれいに纏めて櫛で留め、着物に代わりに浴衣を着ていたが、いつもと違って帯も締めず、紐を結んでいるだけ。
そんな恰好なのに、「暑おしたろ?」と襟元を大きく開けて、風を送るから、ちらちらと乳房が目に入る。
明彦は「あ、いえ・・」と、どぎまぎしていたが、それを知ってか、増子は意地悪く、「どないしたん?」と聞いてきた。
目の遣りどころに困った明彦は「あ、あの、これ」と父親から言付かった紙袋を増子に押しつけて逃げ出そうとしたが、彼女はドアの前に先回りしていた。
「遠慮せんで、上がってゆっくりしていきなはれ」
「あ、いや、僕は」
「汗びっしょりやない。さあさあ、シャワーを浴びて、すっきりしなはれ」
明彦は抗う間もなく浴室に連れて行かれた。
「ほらほら手を上げて」
増子は明彦のTシャツの裾を持ち上げ、どんどん服を脱がしていく。
「もういいから」
明彦がやっとのことでそう言うと、「ほな、うちも」と紐の結びを解き、浴衣の袖を肩から抜いた。
「な、何をしているの?」
明彦は慌てたが、増子は気にしない。