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第8章 恋愛に発展するイベント？

「お先に失礼します。」


定時の17時を過ぎて一時間近くが経ち、徐々にオフィス内の社員たちは帰っていく。
私も帰れそうと思っていた矢先…確認していた資料の数字間違いに気づいてしまった。


「これ、一行ずつズレてない？」

作ったのは……。
あぁ佐藤さん。
彼女はこの春入った新人。
指導係は私の一つ上の先輩。
まだ学生気分なのか、基本は私服（スーツに準じる）でＯＫな職場に入社一日目はすごく派手な格好をしてきて、綺麗にマニュキアを塗られた長い爪はパソコン作業なんてできそうにもない感じだった。
それでも人当たりが良くて簡単な仕事なら早くこなすから、先輩や上司は扱いに悩んでいる。


「佐藤さんはたしかだいぶ前に帰ったよね。期限は…明日？面倒なものを見つけちゃった？」

周りを見ればすでに人はなく、はぁぁとため息が出た。

「しょうがない…直すか。」

手元の書類とパソコン画面を見比べながら、数字を書き換えていく。
単純作業なんだけど、肩が凝るし、目が痛い。

疲れた…と、時計を見ると18時40分。

「あと少しか。コーヒーでも買いに行こう。」


自販機でコーヒーを買って、オフィスへ戻る。