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⊥の世界
第5章 入居審査
1週間前に家主になることを決意して、物件情報をアップした。
その時は募集の為にもう少し文章も長かった。
【写真、アバター無しで会話重視の方】
【会社員の方でランチタイムと20時以降の入室が中心の方】
【始めたばかりで勝手がわかりませんが根気よく付き合っていただける方】
アップすると同時に沢山の入居申請が来て入居審査が始まった。
入居審査は1対1、入居申込の書き込みのチェックの段階で入居不可の通知を出せる。
申込時点で写真をアップして欲しい。住まいや年齢などリアルの情報を訊いてくる人、会いたい、更には性的な要求を書いている人が沢山で、すぐさま入居不可の通知を出す。
初期しばらくは退去命令が出せないので、入居審査は重要だ。
1人1人と会話していくけど、その段階で望まぬ会話や要求を持ち掛けてくる人もいて、不可通知を出していく。
逆に入居許可を出す勇気もなく保留にしていると、相手側から入居申請取り下げが出ることもあった。
リアルにまつわる会話を避けていれば、大抵は『なぜ、家主になったのか。』という話題に終始し、『人付き合いが不得手でPCの中でなら会話できそうだから。』と答えれば、ますます申請取り下げになっていく。
そんな形で淘汰されて残った人たちが住人になったのだ。
満室になれば受付終了となる。ある意味私が選択を迫られる形にはならずにほっとしていた。
住人が決まるまでに5日を要し、LDKでの会話のみというルールを理解していただき、実質オープンしてから2日しか経っていない。
話題作りが出来ず、皆さんに助けられて何とか家主でいられる。
1対1では絶対間が持たない、入居審査中に思ったので、LDKで皆で会話する。
いわゆるチャット形式なのだ。