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レディー・マスケティアーズ
第10章 ポルトス&ダルタニァン ――パークサイド・パレス
「ひえーっ!」
三人は闇雲に駆け出した。体のあちこちをテーブルやら壁やらにぶつけながら、何とか玄関口に辿り着く。三人がかりで押してもぴくりともしなかったドアが、やっとのことで開いた。
「にっ、逃げろ!」
もつれるようにして部屋の外に逃げ出した男たちは、自分たちが何も身に着けていないことなど、頭のどこにもなかった。
「助けてくれえ! 誰か助けてくれえ!」
「幽霊だ。化けて出たんだ!」
口々にわめきながらエレベーターに乗り込むと、震える手で片っ端からボタンを押しまくった。どうにか一階に着いた。エントランスを抜けて、外に飛び出す。とにかく、少しでも遠くに逃げるんだ。
「やっ、やったぜ!」
ようやくマンションの外に逃げ延びることができた。濡れた舗道はつるつる滑ったが、不思議なことにもう雨は上がっていた。雷どころか、空を厚く覆っていた雲も切れ切れになり始めていた。
どういうことだ。三人が顔を見合わせる。
周りに目をやると、通りには何人もの人影があった。
「きゃあっ、猥褻親父!」
「何なの、こいつら」
あちこちで悲鳴が上がった。
無理もない。泥酔しているのか、いい歳をした素っ裸の男が三人、鋪道に這いつくばっているのだ。学生風の男がスマホのカメラを向けた。
せっかくの遭遇だ。SNSに上げてみるか。タイトルはどうするかな。「おかしな体験」。それとも「雨の日の出来事」。ぴんと来ないな。
よし。「危険な三人」。それにしよう。
三人は闇雲に駆け出した。体のあちこちをテーブルやら壁やらにぶつけながら、何とか玄関口に辿り着く。三人がかりで押してもぴくりともしなかったドアが、やっとのことで開いた。
「にっ、逃げろ!」
もつれるようにして部屋の外に逃げ出した男たちは、自分たちが何も身に着けていないことなど、頭のどこにもなかった。
「助けてくれえ! 誰か助けてくれえ!」
「幽霊だ。化けて出たんだ!」
口々にわめきながらエレベーターに乗り込むと、震える手で片っ端からボタンを押しまくった。どうにか一階に着いた。エントランスを抜けて、外に飛び出す。とにかく、少しでも遠くに逃げるんだ。
「やっ、やったぜ!」
ようやくマンションの外に逃げ延びることができた。濡れた舗道はつるつる滑ったが、不思議なことにもう雨は上がっていた。雷どころか、空を厚く覆っていた雲も切れ切れになり始めていた。
どういうことだ。三人が顔を見合わせる。
周りに目をやると、通りには何人もの人影があった。
「きゃあっ、猥褻親父!」
「何なの、こいつら」
あちこちで悲鳴が上がった。
無理もない。泥酔しているのか、いい歳をした素っ裸の男が三人、鋪道に這いつくばっているのだ。学生風の男がスマホのカメラを向けた。
せっかくの遭遇だ。SNSに上げてみるか。タイトルはどうするかな。「おかしな体験」。それとも「雨の日の出来事」。ぴんと来ないな。
よし。「危険な三人」。それにしよう。