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レディー・マスケティアーズ
第7章 アラミス ――カフェ・アレクサンドル
「それじゃあ、オーナーのところに行って、すぐお店を上がらせてくれと頼んできます」
そんな男二人の狼狽を脇目に、菜緒美が立ち上がった時、さっきテーブルに広げられていたカードは跡形もなく消えていた。
あわてたのは浩一だ。
何食わぬ顔で「いいわ」と答えた女の涼しい顔。まさか叔父貴のやつ、犬の散歩のアルバイトをしないかとか、膝枕で耳掃除をしてくれとか、そんな馬鹿な頼みをしたんじゃないだろうな。
「だから、叔父貴。今の女にいったい何て言ったんだ」
浩一が、茂の手を掴んだ。茂は、まだ朦朧とした目をしている。
「だっ、だから、おれたち二人と三人で楽しもうって。三人でいっぺんに。前置きなしに、そう頼んだんだ。そうしたら、あの女が『いいわ』ってな」
まだ呆気にとられたままの茂が言った。
「そりゃあ、いい。久しぶりに叔父貴とあの女と、三人で楽しもうぜ。この店の女なら、後腐れもない。おれたちのサンダーバード基地にご招待しよう。叔父貴も、あの威張りくさった姉貴のことを忘れられるじゃないか」
「うるさい! 浴びるほどに小遣いをせびっているおまえだけには、実の叔母の悪口は許さんぞ! それより、今日はどうして田野倉はいない?」
茂が、いぶかしそうに浩一に尋ねた。
そんな男二人の狼狽を脇目に、菜緒美が立ち上がった時、さっきテーブルに広げられていたカードは跡形もなく消えていた。
あわてたのは浩一だ。
何食わぬ顔で「いいわ」と答えた女の涼しい顔。まさか叔父貴のやつ、犬の散歩のアルバイトをしないかとか、膝枕で耳掃除をしてくれとか、そんな馬鹿な頼みをしたんじゃないだろうな。
「だから、叔父貴。今の女にいったい何て言ったんだ」
浩一が、茂の手を掴んだ。茂は、まだ朦朧とした目をしている。
「だっ、だから、おれたち二人と三人で楽しもうって。三人でいっぺんに。前置きなしに、そう頼んだんだ。そうしたら、あの女が『いいわ』ってな」
まだ呆気にとられたままの茂が言った。
「そりゃあ、いい。久しぶりに叔父貴とあの女と、三人で楽しもうぜ。この店の女なら、後腐れもない。おれたちのサンダーバード基地にご招待しよう。叔父貴も、あの威張りくさった姉貴のことを忘れられるじゃないか」
「うるさい! 浴びるほどに小遣いをせびっているおまえだけには、実の叔母の悪口は許さんぞ! それより、今日はどうして田野倉はいない?」
茂が、いぶかしそうに浩一に尋ねた。