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もうLOVEっ!ハニー!
第7章 彼女の横顔
 梅雨時に入り、華海都サークルの初キャンプが開催されました。
「かんなー! バーベキューのピーマンはこの切り方でいいかにゃ?」
 包丁とピーマンのかけらを持った美弥が駆けてくる。
 私はくじで決まった薪拾いを尚哉さんと一緒にしていました。
 その尚哉さんが、美弥さんが近づいてくると同時に舌打ちしたのをしっかり聞いていました。
「大丈夫だと思います。でも、調理担当はなる先生もいるので、先生に訊いたほうが確かじゃないですか?」
 ぷに、とピーマンを頬に押し付けられる。
「んみ?」
「ボクはかんなの好みに合わせて切りたいのー。焼いたら一番にかんなにあげるよっ」
 そう言ってスキップ気味に美弥は戻って行った。
「……うぜー」
「なっ、尚哉先輩!」
「あんたもよくあいつに構ってられるね」
 大きな籠に木の棒を投げ入れながら、尚哉がだるそうに呟く。
 いつもそばにいるマリケンがいないと、更に毒舌が増しているように見える。
 ちなみにマリケン先輩はテント担当で、陸さんと一緒に立てていました。
「前の奴は乗り気だったけど……」
「前の?」
「いや、別に」
 たまに皆さんがちらつかせる美弥先輩の前の彼女さんってどんな人なんでしょう。
 私の部屋の前の住人。
 卒業したのか、寮から出て行ったのか。
 よさげな木の棒を見つけてしゃがむ。
 土を払って、それを籠に向かって投げてみた。
 運動神経が零の私にしては無謀なことをしてしまったものです。
 あらぬ方向に飛んでいった棒は、木の陰でサボっていた人影にぶつかった。
「いって」
 尚哉が顔を上げて、その人影を確認する。
「おい、早乙女兄弟。揃ってサボってんじゃねえよ」
 頭をさすっているのがつばる、その横から顔を出したのがこばるだ。
 ということは……つばるに……
「おい、かんな。お前だろ。今俺にぶつけたの」
「ち、違いますっ」
「へえ。じゃあ尚哉先輩ってか」
「おい……先輩に罪着せてんのか、松園」
「ご、ごめんなさいっ。私です!」
 尚哉の冷たい眼に急いで頭を下げる。
 頭上から溜息が降ってきた。
「はー……いいから集めるぞ」
「はいっ」
 一時間ほどして、各グループの作業が終了して全員がテントの周りに集まる。
 今日はサークルのメンバーが全員揃っているらしく、上機嫌な隆人が手を叩いて注目を集める。
「お疲れ。バーベキュー始めようか」
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