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もうLOVEっ!ハニー!
第7章 彼女の横顔
 ガチャン。
 背中で扉が閉まる。
 なんだか、牢獄の扉を閉められた気分です。
 囚人になったことはありませんが。
「ははっ。去年となんも変わってな」
 時間はあっという間に過ぎて、私はガク先輩と二人きりになったのでした。
 もじもじと床を見つめる私に手が差し出される。
 人差し指に銀色のリング。
 長い指に整った爪。
 手モデルになれそうな……
「おいで」
 目線を上げるとからかうような、緊張をほぐしてくれるような笑みがあった。

 木の香りが満ちる部屋を案内される。
「ここがコンロと水道だけあるキッチン。んで、そこが手洗いやな。入ってきたとこがリビングで、テレビもあるで」
「いいですねえ」
「去年はくーとゲームもちこんでやったな」
「尚哉先輩とですか?」
「そうや」
 タンタン。
 ニスで光る階段を二人で登る。
 円形のフロアを一周する壁際の階段の先には、ロフトのような二階。
「んで、ここが寝室」
「わあ……」
 あれええ。
 ここシングルでしたっけ。
 なんでベッド一つしかないんでしょう。ねえ。
 硬直する私の肩をとんと岳斗がつつく。
「安心しい。一階にソファもあったやろ。俺はそっちでもええから」
「へっ?」
 そう言いつつも岳斗はベッドに腰掛けてくつろぐ。
 なんとなく隣にちょこんと座る。
「悪い。腹いっぱいでちょい休ませて」
「凄い量食べてましたもんね」
 結局余ったコロッケは三十個ちょいだったそうで、隆人が友人と食べるのだと車に乗せて行ってしまった。
 よくあれだけで済んだものだ。
「去年は四十食えたんやけどなあ」
「ええっ」
「妊婦みたいなったけど」
 一瞬二人で目を合わせて、それから破顔した。
「あはははははっなんですか、それ」
「はははっ。せやから動けんし眠れんくて、くーとずっとゲームしてたんよ。アホやろ」
 尚哉先輩とガク先輩。
 どんな会話をするのか想像もつかないペアです。
 その二人がソファに並んで真剣にゲーム。
 笑えます。
「尚哉先輩って凄くゲーム強いイメージあるんですが」
「まあ、一番はマリケンやけど……あいつも強いな。格ゲーは殆ど負けてコントローラー投げそうになったで」
「怖いですよー」
 あれ。
 私、随分普通に話せてます。
 男の人ってだけで、未知で、更に年上なのに。
 自然に。
 ああ、そうか。
 ガク先輩は話が上手だから。
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