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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し
その事実をつばるが知ったのは昼休み。
兄からだった。
購買前に呼び出されたつばるは、それを聞いて人目も気にせず頭を押さえてよろめいた。
「嘘だろ……あの関西人」
「一応先輩だぞ。まあ、予測範囲内ではあったけど。コテージの指名の件もあるしな」
「あそこで淫乱養護教諭選ぶバカいねえだろ」
「なる先生が聞いたら殺されるぞ」
知らねえよ。
買ったばかりのパンを食う気も起きず、俺は壁にもたれかかった。
朝の薫のキスから頭が痛いってのに。
あれ、かんなに見られなくて良かったな。
今更ながら思う自分が情けない。
くそ。
あいつの目的はなんなんだ。
櫻井柚が気になる。
「とりあえず言ったからな。お前がかんなに執着してんのにーちゃんにばれてないとでも思ってんのか」
「は? バカじゃね」
コン、と額を財布で小突かれる。
「食堂でメチャクチャかんなのこと見といてよく言うぜ」
笑う背中を見て唖然とする。
嘘だろ。
そんなわかりやすいのか。
額を触れて、眼を瞑る。
「……くそうぜぇ」
教室につばるが入ってきて目を逸らす間もなく机にバン、と手が乗せられました。
つり上がった一重の眼が、至近距離で見下ろしてくるのは久しぶりな気がします。
「ちょっと来い」
予習途中の教科書を押さえられていては無視できません。
音に顔をあげた隣の三鷹恭平がじっと見てくるのを感じつつ、シャーペンを置く。
恭平と昼御飯を共にしていた男子たちもこちらを気にしています。
だってそうでしょう。
貴方はバスケ以来クラス中の男子全員に注目されているんですよ、早乙女つばる。
「手をどけてください。邪魔です」
「んだと?」
ああ、たまに活用してくる脅しボイス。
でも、今の私には通じませんよ。
じっと睨み付けて小声で放つ。
「村山薫さんとキスしていたことに関わるんでしょうかね」
つばるが微かに瞳孔を開いた。
あれ。
おかしいですね。
この反応は。
私に対しての苛立ち。
逆ギレですか?
いや、ちがう。
「……まさか、聞いたんですか」
「錦センパイになんて返事するんだ?」
これは……
「蘭先輩の部室に行きましょう。ここで話したくないです」
立ち上がった私達を黄色いメッシュを斜めに入れた恭平が一瞥したが、特になにも言わなかった。
お茶会以来。
蘭先輩いるかな。