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もうLOVEっ!ハニー!
第1章 生まれ変わり
「いだいいだいいだいっ。ボクの髪が大変なことになっちゃう」
「自慢のキューティクルがなくなるかもねー」
「笑えないよ、そんなの!」
 そろそろと二人から離れて廊下に出ると、盗み見をしていたお二人さんを発見しました。
「陸さんに……こばるさん?」
 扉の影で隠れていた男がびくうっと反応する。
 それから気まずそうに出てきた。
「やだなー。三陸は憶えられてるのにオレはうろ覚えって感じ」
「つばるとややこしいんだろ」
 二人もお風呂を済ませたのか、学園指定のジャージを着ている。
 そういえば、美弥はあれはどこで買ったのだろう。
 臙脂の上下がしっくりくる陸を見つめて考える。
「かんなちゃんの部屋はここなんだ」
「エリが住んでたとこだっけか。角部屋はいいよな。俺も角部屋が良かった」
 腕を組んで部屋を覗く。
「綺麗だし」
「僻むな、僻むな」
「お二人はどこなんですか?」
「こばるは丁度この上だよな。俺はその隣」
 ふと天井を見上げる。
 まるで透かして見ようとするように。
「なにかあったらいつでも来てよ。オレは頼りになる」
「自分で云うな、ばーか」
 ついつい笑ってしまう。
 本当に仲良しさんです。
「これから館内まわんの?」
「そうですね。医務室と事務室と……ええっと、ピアノ部屋は見てきました」
 こばるがわざとらしくため息を吐く。
 耳のピアスをいじりながら、暗い声で云う。
「かんなちゃんに一つ警告。ピアノ部屋には近づくな」
「なんでですか」
「なんでって……なあ。あそこは奈己の聖域っていうか」
 陸も苦く笑う。
 曖昧な相槌に首をかしげていると、突然脇腹に手が差し込まれた。
「ひゃああっ」
「はい、かんな捕獲~。ボク以外の男子と喋るなんて寂しいなあ」
 隆人の手からやっと解放された美弥。
 まだ頭が痛むようで眉に皺が寄っている。
 後ろから隆人も白衣をはたきながら来た。
「しょうがないから愉快な仲間たちもついてきていいよ。七時までに終わらせないとなる先生が不機嫌モードになってしまうからね」
 どうしてでしょう。
 その疑問は美弥が教えてくれた。
「管理人はなる先生の家政婦でね、いつも夕飯を作りにいかなきゃいけないのね~。通い妻ってことだねっ」
 耳に囁いてから顔を近づけてきた彼を陸が押し返す。
 そして私の肩を抱いて、ゆっくり歩いた。
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