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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し
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「委員会?」
椅子を引いて腰かける彼女に、なんとなく声をかけてみる。
髪を耳に掛けながら、首を振った。
「視聴覚室です」
教師が入ってきて、励音は前に向き直った。
「課題?」
「いえ……ちょっと気になることを調べて」
「あそこのPC規制厳しいからスマホのが早いんじゃないの?」
数学の教科書を探りながら言う。
「まあ、そうですね」
ならなんで、そんな難しい顔してんだ。
今はうっすらと桃色だが、教室の扉から入るときは真っ赤だったのもなぜだ。
考えるほど疑問が沸く。
この子の友達ってどんなだろうな。
何話すんだろ。
二言以上会話になんのかな。
つばるを除けば、おれくらいしか話してない気がする。
恭平は複雑な気持ちになりながら、真っ白の予習ページを開いた。
まずい。
忘れてた。
励音の足を蹴る。
振り向いた親友に、口パクで「問七の答えは?」
と伝えるが、返ってきた口パクが下手くそすぎて読み取れない。
「あ?」
だが、それ以上は教師に眼をつけられると思ったのか、励音は恭平を見捨てて前を向いた。
許さん。
ペラペラと教科書を遡り、公式を探す。
あ。
これきっかけになるじゃん。
隣の松園を見る。
「松園、予習のとこ見せてもらえない? やるの忘れてた」
小声で云うと、彼女はグッと口をつぐんだ。
視線を下ろし、教科書を盗み見ると、彼女も空白のままだったのだ。
力が抜けて鼻から息が漏れる。
「やってないの?」
「……動く点は嫌いです」
うわ。
初めて情報をゲットした。
数学苦手なんだ。
それだけで笑いそうになる。
あんなに謎めいて見えても、普通なんだな。
普通に予習忘れて、普通に数学が苦手で、普通に焦ってる。
二人で公式を求めて教科書を捲る。
なんか、楽しいな。
松園と同じ状況ってのが。
「あ、あった。これ」
トントン、とページ番号を叩いてやると、彼女ははにかんで小さく頭を下げた。
あれ。
なんか、時が止まったな一瞬。
励音が名指しされ、黒板に解答を書いている間も、頬杖をついてかんなの手元を眺めた。
細い指。
白くて、爪も薄くて綺麗で。
外見は本当にクラスでも高いと思うんだよな。
村山薫とは系統の違う、綺麗の方。
ああ。
これ、あれだ。
手遅れにならないうちに引いた方がいいやつだ。
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