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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し
ええ、それはもう恐ろしい昼休みでしたよ。
三鷹恭平に曖昧に答えてから、数学が終わるまでぼんやりと思い出す。
今朝、上履きに入っていた蜘蛛の死骸。
嫌がらせもその手間を考えたら中々笑えてきますよね。
そっと床に落として、隆人さんから教わったパスを反芻する。
そうして、昼休みに視聴覚室の二十八番のPCを確認しに行ったのです。
鍵を職員室で借りて、暗い部屋に入る。
電気をつけると、姿を現す大量のコンピューター。
コピー機も三台。
結構お金ありますよね。
ホワイトボードを横目に、目当ての席につく。
しばらくすると、上級生が何人か入ってきた。
そ知らぬふりして、ロックされたフォルダからデータをUSBから移動させる。
正常にビデオが見られるのを確認してから、視聴覚室を後にした。
上履きを履くとき、一瞬躊躇してしまった自分を嘲笑う。
えーと。
こういうときは、あれですね。
八坂蘭先輩を頼りましょう。
貴族サークルの一員に認めて貰ったのですから。
階段を上ってヴァイオリンの聞こえてくる扉に足を向かわせる。
「失礼します」
「あら。かんちゃんだ」
「茜先輩もいらっしゃったんですか」
「あー、うん。そこに、にゃんこも」
指を指された扉の隣を見ると、美弥が眼を丸くして壁にもたれていた。
何ですかこの三年女子会は。
「あ、失礼しました」
「にー! なんで? クッキーあるよ、クッキー」
「はしゃがないで、雌豚ちゃん。入っていらしたら? 用があったんじゃないの」
「黙れ、人形フェチ」
「宝塚もどき」
えっと、どういう状況でしょうね。
困りながら立ち尽くしていると、美弥に腕を引かれてソファに座らされた。
「蘭のヴァイオリン良いよー? かんちゃんものんびり聞いていけば」
「いやあの、私ちょっとのんびりしに」
「わかった。特等席をあげる」
美弥と蘭が両脇に。
しまった。
捕らえられましたね。
美弥さんがいつもよりくっついてこないのがほんの少し気になりますが。
「全く……先輩がこんなじゃ大変よね。まともなのはルカくらいかしら」
「あのナルシストモデルが?」
「あのね……あたしから見ればあんたら二人こそそれよ?」
少し、安心しました。
三年生で集まると、こうして普通に過ごしているんだなあと。
友達。
同級生。
あら?
想像しがたい。