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もうLOVEっ!ハニー!
第9章 本性探し
謎の犯人のことはひとまず今後調べていくということで、美弥さんが私を送ることになりました。
「どう思う? 茜」
残された二人はテーブルを囲んで冷たくなったお茶を楽しむ。
茜はスルメをつまみながら。
「にゃんこのこと? まー、まだまだ熱量上昇中って感じだよね。あたしはああいう美弥が好きだから良いんだけどさ。エリの時は遊ばれて壊れちゃったから……かんちゃんが選んで幸せにしてくれたらなあっては思うけどね」
「エリは酷かったものね」
「今度会ったら一緒に調教しよっか」
「嫌だわ。茜似合わないわね」
「なーによう」
チャイムが鳴りそうなスピーカーを見上げて過去を思い出す。
エリ。
卒業して、どこに行ったんだろう。
掻き回して。
ぐっちゃぐちゃにして。
泣き笑いながら出ていった。
「蘭は誰になったら面白いと思ってる?」
乾いた表現だが、蘭の性格を知っている茜は「面白い」という言葉を使った。
「そうね。私は岳斗がとことん溺れていくのを見たいわ。でも……隆人が大人の特権乱用するところも見所だと思ってるわね」
「んはっ。管理人ねー。あたしはなる先生大好きだからそっちを応援したいなあ」
他人の恋愛事情は話題のスパイス。
それも飽きない香辛料。
二人はかんなと美弥の出ていった扉を一瞥して同時にカップに口を付けた。
廊下に出たとたん、美弥さんの仮面が付け替えられたのを感じました。
この人もそう。
誰だってそうでしょうか。
何枚も。
「……かんなはボクを不安にさせるのが宇宙一上手だよね」
「……悪戯のことでしたら」
ダンッ、と伸ばされた手に進行方向が塞がれる。
「悪戯? 今までの全部も悪戯で片付けるのかな? かんなにとってはキスも悪戯。もしかしたらセックスすらも悪戯なのかにゃ」
鼓膜から脳に送られてきたその言葉の羅列が変換されない。
否定。
だって、そんなこと美弥さんが言うなんて。
バチンッ。
何かがぶつかる音。
固定されていた目線を上げると、頬を腫らした美弥が見下ろしてきていた。
手が痺れている。
私、今……
「……痛いなあ。ふふ、痛々しいね。ボク。なーにやってんだろ」
壁についていた手を下ろして、頬を撫でるとそのまま背を向けた。
「忘れて」
そして、行ってしまう。
ダメ。
このままでは、また何か……崩れてしまう。