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もうLOVEっ!ハニー!
第1章 生まれ変わり
いつまでも聴いていたい声。
涙袋の影が、顔の印象を五歳は年上に見せている気がする。
「よ、よろしくお願いします」
握手する手は、陸のそれより大きかった。
身長も百七十五はありそうだ。
背筋を伸ばして歩くルカの背中を眼で追う。
「あれでオレらと同い年ってんだから頭痛いよな」
「それを言ったら奈己もだろ」
「ナミナミは可愛いじゃん。ボクに甘いし?」
「お前が異常なんだよ」
「ほらほら。さっさと次行くぞ」
隆人が全員の背を押しながら西エリアから移動する。
ルカの香水の香りだろうか。
さっきと同じ道なのに、妖艶な、けど上品な匂いに満ちていた。
バタンと大きな両扉が開かれる。
同時においしそうな香りが漂う。
「ここが食堂。基本は平日の朝と夜だけここで食べれることになっている。土日は自分の台所で作れって話だ」
堂という言葉を使っていいのだろうか。
バー程度の広さ。
椅子も八脚しかない。
明るい室内だが、学生が集って食べるというよりは、隠れ家レストラン的な雰囲気だ。
カウンターに並んだ椅子に隆人が座る。
手元のベルを鳴らすところなんてまさにお店。
リンッという音の後に、奥からスキンヘッドの三十代風の男が現れた。
つい一歩下がってしまう迫力。
「おう。隆人か。そろそろ鳴海の作るのに限界か?」
「そうじゃないよ。今日は新入りの紹介に来たんだ」
コック姿の男が私を見つけて、にやりと笑う。
ぞわあっと鳥肌が立ってしまった。
「ちょっとちょっと、しーちゃんが怖いからかんなビビってるよ。ボクの可愛い後輩泣かさないでよね」
「はいはい。美弥お嬢さんに失礼しました。かんなっていうの? 初めまして。ここの料理長……ってもアシスタントは一人だけだが、黒瀬汐里だ。しーちゃんでもアニキでもなんとでも呼んでくれ」
こばると陸に連れられてカウンターに座る。
「この顔で汐里だもんなー。アニキの両親は女の子が生まれると思ってたのかね」
「どうだろうな。ま、もう慣れたけどよ」
身を乗り出してわいわい喋る男性陣の中で孤立している感覚。
少しだけ身が震えた。
いてはいけない気がして。
「かんな。顔上げて」
美弥が肩を撫でる。
目線を上げると、テーブルに熊の顔をしたケーキが置かれていた。
「わあっ」
つい声が洩れる。
涙袋の影が、顔の印象を五歳は年上に見せている気がする。
「よ、よろしくお願いします」
握手する手は、陸のそれより大きかった。
身長も百七十五はありそうだ。
背筋を伸ばして歩くルカの背中を眼で追う。
「あれでオレらと同い年ってんだから頭痛いよな」
「それを言ったら奈己もだろ」
「ナミナミは可愛いじゃん。ボクに甘いし?」
「お前が異常なんだよ」
「ほらほら。さっさと次行くぞ」
隆人が全員の背を押しながら西エリアから移動する。
ルカの香水の香りだろうか。
さっきと同じ道なのに、妖艶な、けど上品な匂いに満ちていた。
バタンと大きな両扉が開かれる。
同時においしそうな香りが漂う。
「ここが食堂。基本は平日の朝と夜だけここで食べれることになっている。土日は自分の台所で作れって話だ」
堂という言葉を使っていいのだろうか。
バー程度の広さ。
椅子も八脚しかない。
明るい室内だが、学生が集って食べるというよりは、隠れ家レストラン的な雰囲気だ。
カウンターに並んだ椅子に隆人が座る。
手元のベルを鳴らすところなんてまさにお店。
リンッという音の後に、奥からスキンヘッドの三十代風の男が現れた。
つい一歩下がってしまう迫力。
「おう。隆人か。そろそろ鳴海の作るのに限界か?」
「そうじゃないよ。今日は新入りの紹介に来たんだ」
コック姿の男が私を見つけて、にやりと笑う。
ぞわあっと鳥肌が立ってしまった。
「ちょっとちょっと、しーちゃんが怖いからかんなビビってるよ。ボクの可愛い後輩泣かさないでよね」
「はいはい。美弥お嬢さんに失礼しました。かんなっていうの? 初めまして。ここの料理長……ってもアシスタントは一人だけだが、黒瀬汐里だ。しーちゃんでもアニキでもなんとでも呼んでくれ」
こばると陸に連れられてカウンターに座る。
「この顔で汐里だもんなー。アニキの両親は女の子が生まれると思ってたのかね」
「どうだろうな。ま、もう慣れたけどよ」
身を乗り出してわいわい喋る男性陣の中で孤立している感覚。
少しだけ身が震えた。
いてはいけない気がして。
「かんな。顔上げて」
美弥が肩を撫でる。
目線を上げると、テーブルに熊の顔をしたケーキが置かれていた。
「わあっ」
つい声が洩れる。