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もうLOVEっ!ハニー!
第11章 写りこんだ隣の姫様
入学式から全てが目まぐるしい。
新しい生活と新しい自分は慣れるには大変で。
「疲れるよ……」
前の私を知っているつばるになら、愚痴を吐いてもいいような、そんな不思議な甘えが沸いてしまったから。
唇を噛みしめて、呼吸を落ち着かせる。
「お前さ、中学から思ってたんだけど」
「……なに?」
つばるが身体をこちらに向ける。
「自己主張っての覚えれば?」
その言葉が脳に響くまで時間差がありました。
「自己?」
「お前が博也とか舞花のせいでああいうことになったのは、何人か気づいてたんだぜ」
「えっ」
「全員が全員いきなり避けたわけじゃねえだろ。大人しい奴らは特に、お前の味方をしようとしてた。でもお前は、あの誤解を解くこともしなかったから、舞花と柚のグループが少しずつありもしない噂広めていった。俺のところに他のクラスからお前が会長と放課後ヤってたって聞いた時は手遅れだと思ったね」
「はっあ?」
なんですかそれ。
いくつも変な噂を聞いては来ましたが。
煙草を買っているとか。
男子に体を売っているとか。
でもまさか、生徒会長とまで……
中学ではつばるに続いて女子に人気のあった、誠実な男子。
一年生の時は少しだけ話したけど、本当に優しかった。
「知らなかっただろ」
「……でも」
「事実じゃないのはわかってる。教師も何人か対策練ってた。お前がちゃんと助けを求めていたら、外部からの協力も頼めたかもしれない」
「そんなことっ」
「後からならいくらでもいえるよな。それに他でもない俺に言われるなんて屈辱だろ。だから同じこと繰り返すなって言ってんだよ」
「偉そうに」
ぐいっと腕を引かれる。
つばるが無表情で見下ろしてくる。
腕が強張るほど力が伝わって、痛い。
「寮の優しい先輩方に囲まれて安心しきってんじゃねえよ? さっき近くに舞花と柚が来ていた。薫が呼んだらしい」
光が翳って消える。
夕日はとっくに月の光に飲み込まれて、闇に隠れてる。
掴まれた手の感触すら届かない。
「な……に、云って」
「知ってるか? 今な、博也たちシンナーだか何かの中毒になってレイプしまくって舞花にも暴力振るってんだと」
「立ち聞きしたの?」
「ああ。俺だって困るんだよ。あいつらがここに来られると」
「そうですよね? 元カノが沢山」
「んなことじゃねえっ」
突然の大声に竦んでしまう。