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もうLOVEっ!ハニー!
第12章 騎士は王子と紙一重
ヒロくんがあたしを愛してくれるときには、必ずお腹を蹴られるの。
それが痛くて、辛くて。
でも、あたしにしかその暴力は向けられないから、特別だった。
松園かんなを、その眼中に入れるまでは。
「舞花、オレのこと好きならヤれるだろ?」
そう微笑んでくれるヒロくんの顔がどんなに怖くても、「それ」は愛だから。
あたしにだけの愛だから。
でもね、卒業してから、ヒロくんがおかしくなっちゃった。
薬物に手を出して、高い覚醒剤を買って。
あたしにも強要するようになった。
ヒロくん。
貴方を変えたのは、あのバカだよね。
あのバカさえいなかったら、ヒロくんはあたしだけを見てくれた。
あたしだけに暴力を振るってくれた。
あたしだけを抱いてくれた。
愛してくれた。
そう、復讐。
卒業式のとき、ヒロくんを無視して逃げやがったバカが記憶に染み付いちゃったから。
消さないと。
消さないと……消えないから。
ヒロくんがあたしだけを見てくれないから。
朦朧とした意識のなかで、あたしと交わりながら、虚ろな瞳でバカの名前を口にする。
それだけで、あたしはあんたを殺せる。
大嫌い。
憎い。
卒業したら、幸せに暮らしてるなんて許せるわけがない。
なに一人で逃げてんの。
逃げれるわけないじゃん。
バカんな。