この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
もうLOVEっ!ハニー!
第12章 騎士は王子と紙一重

 後ろ姿を見つけたら、飛び付かずにはいられない衝動が嫌だ。
 かんなのふわふわな髪の毛に埋まりたくなるし、小ぶりな耳に息を吹きかけてびくってする肩を眺めたい。
 うずうずするんだ。
「あ、美弥さん」
 振り向かれちゃったりしたらもう、自制なんて不可能な話で。
 かんなはきっと、ボクを選ばないのに。
 都合の良い甘えどころの自分に自己嫌悪。
 だって、そう。
 女同士は安心するから。
「何回言ったらわかるの? ボクは」
 美緒だよ。
 そう呼ばせてたら、男になれるんじゃないかって。
 せめて好きな人の中でだけ。
 エリが、かけたおまじない。
 些細なおまじない。
 初めてボクに応えてくれた、恋を感じさせてくれたエリが。
「美緒さん」
 手を伸ばしてもいいかな。
 触れ合うことを重ねたら、特別に。
 きっと。
「かんなは今日も可愛いにゃー」
 でも後ろ手を組んだまま、その傍を歩く。
 伝えた本心を曖昧にせぬよう。
 シャワールームでのキスを上塗りせぬよう。
 コツコツ。
 目線を合わさず前を見て。
 抱き締めたい衝動を、抑えて歩く。
「……今度のサークルの活動っていつあるんでしょうか?」
「んー、流星群とかぁ? 屋上で皆で寝転んで観たりするかな。しーちゃんがマイス振る舞ってくれたりしてね」
 キャンプ以来、行事はなかったな。
 あんまり気にしてなかった。
「それより、かんな」
「はい?」
「あのキス魔はどうしてる?」
 御巫アリスの一件から六日。
 気が気じゃなかった。
 かんなは指で鼻を触りながら眉を潜める。
 なにか、あったんだ。
「その……なんというか、私のクラスに結構来るようになって」
 足を止めて寮の廊下の照明の下、かんなが振り返るのを待つ。
「あのクソビッチ……」
 知らずに拳を握り締める。
 爪が肉を引っ掻く。
「無理やり何かされてない?」
「そんな、ことは。ただ、毎日尋ねてきてお話しするんです。とりとめもないことです。授業のこととか、教師のこととか、趣味とか」
 ボクがかんなと話したいことばかりだね。
 友達。
 そこから始めるのか。
 無害を装って。
 あいつ……かんなが好きなのか、キスフレ作って飼い慣らしたいだけなのかわかんないから苛つくんだよな。
「そう。とりとめもないこと、ね」
 決めた。
 昼休みはかんなに会いに行こう。
/421ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ