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もうLOVEっ!ハニー!
第13章 諸刃の剣で断ち切る思い出

 二十八日の朝、華海都寮の朝一番に目覚めたのは汐里ではなく、清龍だった。
 朝五時、重い頭を手で支えながら屋上に向かう。
 しかしその頃には岳斗が着替えを済ませて階段を降りていた。
 五時二十四分、徹夜明けの隆人と出くわした同じく徹夜明けのルカが力なく笑顔で挨拶をすると、その後ろからつばるが現れた。
 ぼやけた視界でも明確な意識を持って、管理人は問題ごとを見据えた。
 舐めた唇を開いて放った第一声がアラームのように、美弥とかんなが目覚めた。
 六時二分、鳴海はイベントの為にと張り切って身だしなみを整え、隆人に会おうと廊下に出た。
 岳斗が散歩から帰ってきたのはちょうどその頃で、こばるの部屋に向かうため靴を脱いだ。
 六時十六分、望遠鏡を取りに倉庫の鍵を回しながら歩いていた隆人の後ろに招かれざる客が忍び寄っていた。

「おはようございます」
 最初に声を発したのは鏡の自分に向かってだった。
「……おはよう」
 顔を優しくタオルで拭い、長くなる一日にお辞儀をします。
 髪は耳より少し高めに結び、白いシュシュをグルウリと巻きました。
 まっさらな気持ちで扉を開けると、廊下の先で女性の先輩方が集まっていました。
「あ、かんな。おはよう」
 まだ七時八分。
「おはようございます、美弥さん。それと、先輩方」
「松ちゃん、その髪も似合いますね」
「あらまあ、素敵ですこと」
「ほんとだー、かわいい」
 ルカさん、蘭さん、茜さん。
「どうされたんですか」
 朝日が廊下を淡く染めている。
 光の粒子が霧みたい。
「今日は天体観測でしょ? どこで何時からかは朝に連絡するって言ってた隆にいが留守なんだよにー。なるが探してるけど、妙に遅くって」
 隆人さんが。
 モスグリーンのワンピースを着こなした蘭も怪訝そうに眉を歪ませる。
「汐里さんも聞いてないらしいの」
 ベージュのカットソーに白い太ももが露わになった短パンを履いた茜も、寝癖をいじりながら唇を突き出す。
「一応サークル顧問なのにさあ」
「まあ、時間はまだまだあります」
 ルカが宥めるように声を和らげる。
 なんでしょう。
 今日は、同窓会。
 つばると私は欠席予定の同窓会。
 そうだ、つばる。
 踵を返し、つばるの部屋をノックする。
 返事の前に美弥が答えた。
「あいつはもうこばりんの部屋行ってるはずだよ」
 人差し指で上を指して。
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