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もうLOVEっ!ハニー!
第13章 諸刃の剣で断ち切る思い出
最後は……。
最後の一人の前に立つ。
壁際に崩れ落ちるように座っている村山薫。
ボーッと宙を見つめて表情がない。
「なんで、こんな人達のために、協力したんですか」
学園生活に大きな不満はなかったはず。
気に入らないのであれば、定期的に嫌がらせを続けて発散してれば、ここまでの事態にはならなかったのに。
未熟なメンツで未熟な思いつき。
ただただ乗せられたのか。
生理的嫌悪がここまで行動を焚き付けたのか。
真意を知りたい。
「あなたも逃げてきたのなら、居場所を壊しちゃだめじゃないですか」
「居場所? 居場所なんてここにはない。あんたがいる限りは誰の興味も私に向かない。親友を傷つけたあんたが、ふわふわニコニコ過ごしてたら、耐えれなかったのよ」
免罪符のように責任を押しつけですか。
入学から私が何をしたんですか。
あとを追いかけ回して。
過去を掘り下げて。
トラウマを連れてきて。
「あーあ」
薫の視線がゆっくりとこちらを向く。
「せめてあんたより一日早く入寮していれば、マシな未来もあったかもね」
最後まで責任転嫁ですか。
目の前で何が起きていたのか見てないのでしょうか。
つるんだ相手が刃物を他人に向けて。
罪もない一般人に暴力をふるって。
挙句の果てには警官にパトカーに乗せられて。
本当に、理解してないんでしょう。
「まあでもほら。私の場合は何もしてないから。厳重注意で終わるでしょ」
ああ、ちげーました。
そういうところは理解してるんですね。
「だってよ、隆にい。これは聞き逃せないでしょ。ねー! 村山薫は何もしてないってさー!」
美弥の叫びに薫が目を丸くする。
「ちょっと、美弥先輩……」
「まあボク的には? 不審者招き入れて? 休日とはいえ寮生だけでなく、守衛さんも巻き込んで? 二人怪我させといて、そのきっかけを作った本人を今後もここに住まわせるって超絶ヤなんですけど」
そこまで言語化しますか。
「何か言い訳があれば全員が証人になりますわよ」
心底楽しそうに進み出た蘭にも面食らいつつ、薫は被る猫を探しているようだった。
確かに、そうなんです。
どの犯罪に当てはまるかと言うと、教唆としても証拠もない訳ですし。
大人の意見を待つ沈黙。
鳴海は隆人に任せると言った顔をし、汐里は勝見の拘束を代わり、隆人は重く口を開いた。