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もうLOVEっ!ハニー!
第13章 諸刃の剣で断ち切る思い出

「今夜の天体観測の前に、六時に村山と松園、つばるは管理人室に来てくれるかな。各人から事情を聞いた上で理事に相談させてもらう」
「六時までにこいつ帰ってくんの!」
 遠慮なく人差し指を突きつけて叫ぶ美弥の腕をそっと下ろし、鳴海が後に続く。
「この子達を警察に引き渡すから隆人、かんな、つばるはついてきてくれる?」
「……了解」
「わかりました」
 小さく答えるも覚悟は出来ていない。
 進み出ようとしたところで大きな手がつばるの肩を優しく引き止めた。
「ちょお待ち。なるセンセ、こいつ刺されてんで。血が少ないからて無理させてええんか」
 左胸の服に亀裂が入っているのを隠すように握りしめていたつばるが不満そうに横を向く。
 すぐに鳴海が駆け寄った。
「ごめんね、つばるくん。凶器があると知ってたらもっと早く盾になるべきだったのに。傷口見せてくれる? ここだけ? 他は痛めてないかしら」
 素早い触診をなすがままに受け、緩く首を振る。
「いいです別に。同行くらいできますよ。ほら、どう見てもかすり傷でしょ」
 難儀な素振りでシャツをまくって胸を晒す。
 一本の薄い線と血が擦れた跡。
 重症ではないものの、確かに刃物で切られたのだと、今更背筋が寒くなる。
「救急車今から呼んでも迷惑ですよ。心配でしたら軽く包帯だけ巻いてくれますか」
「はい、持ってきたよ」
 先回りをした茜が包帯とコットン、消毒液を手渡す。
「ありがとう、茜。止血するわね。ほかの寮生は解散。て言っても本当に仲間がいるかもしれないから見回り強化してもらうわ。なるべく施錠された二階以上の部屋に複数人でいてね」

 先に警官に運ばれた面々を見送りつつ、その背中について行かなければならないことに足が重くなる。
 こんなの災害ですよ。
 避難した先に災害が追いかけてきて。
 どうして追いかけるのかなんて、聞いたところで理解できるはずもありません。
「すみませんが、書類の都合もあるので最寄りの署まで同行してもらえますか」
「ではこの三名で参ります」
 隆人が進み申し出る。
 留守を頼まれた鳴海は渋く頷いて、三台のパトカーを見送った。
 あまりにも居心地の悪い座席に外の景色を見る気も起きず、ひたすらに前の席のシートを凝視する。
「すみませんね、狭い中。後の二台は先に六人に調書を取りますので、あなた方は一旦駐車場で待機になります」
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