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もうLOVEっ!ハニー!
第13章 諸刃の剣で断ち切る思い出
三者三様に自分が原因だと自責する、重苦しい車内の空気が開放されたのは半時間後。
それぞれ個室で調書をとることになった。
今回の経緯、今朝からの関係者の動向、被害に遭った際の状況説明、襲撃者の動機。
「昨年度まで関わりのあったクラスメイトということですね。なにか思い当たることはありますか」
「私は……あの人たちに三年間いじめを受けていました。ただそれはもう過ぎたことなので、掘り返すつもりはありません。でもどうしてこんな県をまたいでまで追いかけてきたのかを思うと怖くて……理解できないです」
いじめ、というワードに担当官が顔を上げる。
速記をしつつも集中して話を聞いてくれている。
「調べたところ違法薬物が検出されたようです。近頃安価で出回っており、彼らに売りつける人がいたようです。過去の出来事が数分前のように蘇り、感情を激しく刺激する作用もあるので、理解をしようとするのは酷ですよ」
そんなものに手を出すんですか。
卒業式に見た派手な容姿の彼女らを思い出す。
卒業後の姿が容易く想像できると思ったが、まさかここまでになるとは予想外だった。
「検出されたのは……全員ですか」
「いえ、女性二名からは出ませんでした」
一人は薫だろう。
捕まる訳にはいかないですもんね。
「あの……安心して今後を過ごすためにも聞きたいんですが、あの人たちはどうなるんですか。」
ペンを置いて、言いづらそうに腕を組む。
今から貴方を失望させますよ、と。
「薬物反応のあった四名のうち、傷害罪を伴った主犯格の勝見博也には前科がつき、一定期間診療を受けながら更生施設に入ります。ほか三名は初犯のため、保護観察下におかれます」
「反応の出なかったおふたりは、厳重注意で終わりということですか」
勝見が何ヶ月、何年少年院に入ろうと知ったことではありません。
逆恨みを募らせた女性三名の処遇を聞かずには帰れないのです。
「そうですね……特に今回は同寮生も含まれておりますので、学園側も法外にて対応を進めるとは存じます」
もしもそれがなければ?
村山薫が在学を続けたら?
最悪なのは寮に住まれ続けること。
でもそれは警察の管轄外の話。
のたのたと歩く意思のない足を何とか持ち上げて待合のベンチに座る。
しばらくして、つばると隆人も出てきた。
これで、終わったんでしょうか。