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もうLOVEっ!ハニー!
第15章 何も叶えぬ流星群
互いの両目をじっと見る。
次に言う言葉が、この関係性を決める。
決めてしまう。
こういう空気は人生でそう何度も味わいたくない。
シャワー室の時のような。
暴走が故に関係が変わる。
陸が言葉を探すように口を開く。
「ご、めんなさい」
拍子抜けする謝罪に、目の奥が熱くなる。
「謝っても元には戻らないにゃー」
手を出したのは、お前だからな。
恨むなよ。
手が離れたので、サッとベッドから離れて髪を整える。
陸はベッドの上で、呆然と座ってる。
「ボクはね、陸を元気づけて、ボク自身も癒されたかっただけなんだ。まさか可愛い後輩くんが見誤るなんて思わなくて。こばりんと三陸はさ、割と障壁なくて好きだったんだけどなあ」
罪名を宣告されているように陸は動かない。
「変に刺激したみたいでごめんね? もう部屋には来ないから、おやすみ」
映画はまだ続いてる。
壮大で切ない音楽が流れてる。
扉に向かって歩き出すと、後ろでベッドが軋む音がして、たどり着く前に腕を引かれた。
足を止めて、息切れになった陸を振り返る。
「ま、間違った訳じゃないから」
「んー?」
「血迷ったわけでも……ないから」
なあに。
くすぐったくなる言い方。
掴む手の力も優しいこと。
「先輩が俺に興味なんてないことも……知ってるから……かんなのことが好きなことも嫌なくらい知ってるから。自惚れてもないし。ただ、今は本当に先輩に助けられてて、大切で」
違うよ。
教えてあげたい。
キミはね、今、脆すぎるだけなの。
振り回されて疲れきって癒しが欲しいだけなの。
手っ取り早くそばに居るボクを選んだだけ。
だってボクもそうだから。
陸なら手を出してこないだろうと。
でも大事に扱ってくれるだろうと。
都合がいいふたりだったよね。
それを崩したのは、そっち。
「陸。大丈夫。ボクが保証する。来年もっともっと可愛い後輩が入ってきて、大恋愛するよ」
「その頃先輩いないじゃん」
「なに、可愛いね」
余裕が伝わったのか、陸が手で顔を押さえて項垂れる。
そうだよ。
ボクなんて扱いきれないでしょ。
「……わかったよ。単純細胞なのは自覚したんで、本気なのは伝わってくれますか、センパイ」
「単細胞ね。告白もされてないのにわかんないにゃ」
「いじめんなよ……」